平成25年度第一四半期の公共事業発注額と景気対策
見通しを誤った高山市の予算処置
 アベノミクス効果に頼ったばかりに、第1四半期の発注量が対前年比で約10億円減少。伝えられるところではCランク等に仕事が回らない中、業界の不満もたまっているようです。
 本年2月28日の3月議会冒頭の補正予算については、以前にブログでもご紹介したとおり後ろ向きな補正予算であり、15億円の補正内容の14億円が減債基金への積み立て提案でした。なぜ積極的な景気対策補整に回さないのかと質したところですが、(内容についてはこちらからご覧下さいhttp://silver.ap.teacup.com/itigonkaisetu/988.html)今となっては半分の7〜8億円の組み替えを要求すべきだったと悔いています。少し内容を調査しましたので遅ればせながら、平成24年度の切れ目のない景気対策と平成25年度の比較でその差を見て頂きます。
高山市予算における建設投資額
H25年度 事業費 うち工事費 第1四半期
発注額 発注率
前年繰り越し額 1,096,865 860,663 530,618 61.7%
H25当初予算額 5,678,850 4,388,900 1,383,049 31.5%
H25年度総額 6,775,715 5,249,563 1,913,667 36.5%
H24年度 事業費 うち工事費 第1四半期
発注額 発注率
前年繰り越し額 1,339,138 1,179,442 1,000,688 84.8%
H24当初予算額分 6,303,710 5,020,200 2,070,796 41.2%
H24年度総額 7,642,848 6,199,642 3,071,484 49.5%
 ご覧いただいたとおりの結果です。前年度繰り越し額は当該年度には執行できないけれども、次年度に繰り越すことにより次年度の第1四半期の発注量を確保して、切れ目のない景気対策を確保する為に、12月補整等で調整しておくものです。当然次年度には当初予算と共に執行されるべき財源となります。
 平成24年度対比では、第1四半期の発注額は工事費ベースで約11億5千万余少なく対前年比62%の発注となっています。又発注率で見ても36.5%とという低調ぶりです。
 細かな内容を分析すれば、前年繰越額の発注額も発注率も平成24年度度比較すると大幅に低下しています。これは第1四半期には補助金確定などで発注できない事業が含まれていると見ることも出来、平成24年度とは異なる点です。当初予算分の発注額と発注率も平成25年度は生ぬるいものとなっています。景気対策疲れともいう状況下で、少し国の経済対策に頼りすぎたのかもしれません。
 こうした動向の要因としては、全国的に東北大震災後の復興に人も資材も削かれているため、高山市でも思うように人の配置ができないとか資材が整わないという事もあるようです。又、アベノミクスの第2の矢である財政出動による公共工事の増加が、国・県の直轄事業等に多く配分され、市が使い勝手が悪いというようなことも聞きましたが、思うように高山市を潤すまでには行かなかったと解説する向きもあります。
 しかし本年3月末で金融円滑化法が期限切れとなる不安要因を抱える中で、高山市は少し経済見通しを誤ったと見るべきです。
 金融緩和による経済効果の地方経済への波及は期待薄であり、輸出増による全体経済の底上げは半年から一年は無理だろうといわれています。早急に出来るものではありません。
 また財政出動による公共事業量の増加が高山市には期待はずれであったという中では、腰を据えた景気対策補整を9月議会に上程せざるを得ない状況です。このところ7月定例委員会への行政からの報告事項など見ても、こうした経済分野でのほころびを繕う視点での緊張感が全く感じられないところであり、行政内部での検討がなされているのかと疑問に思うところです。
 
 以前に指摘したように、「産業経済分野での司令塔不在」を嘆かずにはいられません。また「カンフル剤的な景気対策ばかりでなく、経済の体質改善に向けた視点での政策」が必要なときであり、思いつきのような人気取り政策にうつつを抜かしているひまはないはずです。