文教産業委員会平成28年度行政視察報告 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
島根県雲南市:小規模多機能自治による住民主体のまちづくり 中田清介 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1. 今回の調査目的
暮らしを支える地域運営組織についての議論がその実践段階に入り、各地の成功事例と言われるものが多々報告されて来ている。 全国的に地方分権や、平成の合併を契機として住民自治によるまちづくり組織を立ち上げ、住民と行政が協働して自らの地域の課題を解決していく地域内分権や地域経営といった議論が盛んである。 高山市の協働のまちづくりにおいては、当初その仕組みと仕掛けについていわゆるその制度設計の中で、その組織づくりと財政的支援について多く語られて来たところである。 そしてその活動は「高山市まち・ひと・しごと総合戦略」の中でも語られているように、組織としてのまちづくり協議会の在り方については「地域が自主的・主体的に組織し運営する」ものとし、地域の維持・改善・振興に取り組む地域を支える担い手として位置付けている。いわゆるまちづくりの主体としての期待である。 しかし設立後2年を経過する中にあっても、いまだまちづくり協議会の活動については相当な不協和音があるように感じられる。 その要因は,合併後の支所地域の位置づけ並びに旧高山市地域との一体化への考え方の相違や,地域振興に関する問題が色濃く出てきているように見受けられる。そうした中でまちづくり協議会の全地域一律の立ち上げにも問題があるようにも感じられる。 一度地域内分権の在り方と住民主体によるまちづくりについて、そして合併後の支所地域の振興策について、改めて高山市のあるべき方向性を探る必要がある。そもそも地域内分権の必要性とその在り方についてももう一度検証する必要もないのだろうか。今回は池田市の「地域分権の取り組み」とともに雲南市の「小規模多機能自治の仕組みとその事例」を調査した。池田市については他の議員にその報告を委ね、私は雲南市を担当した。合併後のまちづくりの方向性がこれでよかったのか、地域振興の在り方も含め考察してみることとした。 2.雲南市の概要 雲南市は平成16年11月1日、大東町、加茂町、木次町、三刀屋町、吉田村、掛合町の六町村 が合併し誕生した。全域が合併後も過疎指定を受けている。 ヤマタノオロチ伝説にちなむ斐伊川や加茂岩倉遺跡、たたら製鉄にちなむ鉄の歴史では旧吉田町の田部家と菅谷たたらなどが有名でありスサノオとクシナダ姫にちなむ須我神社など国生み神話等に由来する史跡など豊富な地域でもあります。
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3.雲南市の小規模多機能自治による住民主体のまちづくりについて 「総務省地域力創造グループ地域振興室による評価」 ■島根県雲南市「地域自主組織」の発展プロセス 島根県雲南市は、平成 16 年 11 月に 6 町村の合併により誕生した。人口約 4 万人、 面積約 550k uの中山間地域で、全域が過疎地域の指定を受けている。人口減少・ 高齢化が急速に進展 しており、2030 年には 2010 年に比べて人口が約 2 割減少する 一方、高齢化率が 4 割を超え ると推計されている。 雲南市では合併をきっかけに協働のまちづくりが本格化した。平成 16 年 の新市 建設計画においては、従来の地縁型組織(自治会・町内会)や消防団、営農組織、PTA、 婦人会など地域の様々な人、組織、団体が参画し、地域課題を自ら解決する「地域自主組織」が 、集落機能を補完する新たな自治組織として位置付けられた。その後、 平成 17 年から 19 年に かけて小学校区域を単位とした「地域自主組織」が各地で立ち上げられた。その後、平成 19 年 には総合計画、平成 20 年には「雲南市まちづくり基本条例」が制定され、行政と市民とが一体 となった協働のまちづくりが推進されている。
雲南市においては、「地域自主組織」の設立・ 運営に際し、行政(市)が積極的 に活動拠点の整備や事務局体制の整備などの支援を行っている 。活動拠点の整備については、各地域に設置されていた公民館を交流センターに移行して「地域 自主組織」の拠点として位置付け、「地域自主組織」が指定管理者として同センターの管理・運 営を行っている。また、事務局体制の整備については、活動資金の支援として一括型の交付金を 交付するとともに、地域担当職員制を採用している。
なお、雲南市では現在、市内全域におい て 43 の「地域自主組織」が 30 の交流セ ンターを拠点に様々な活動を展開している。例えば、 鍋山地区では、地域の発意で 高齢者世帯の見守りを実施するため、市が実施していた水道の検針 業務を受託し、 水道の検針と高齢者の見守りを組み合わせた活動が行われている。また、塩田地 区 では、毎月第 4 土曜日の夕食を会員宅に配達する活動が継続して行われている。
■地域運営組織をめぐる新しい動き 地域内における課題や取り組みを地域の枠を超えて共有し、相互に学び合い、高め合うという取り組みが活発化している。 島根県雲南市では、市内全域の地域運営組織(地域自主組織・43 組織)の関係者 が集まり、それぞれの地域での取組状況を報告(披露)する「自慢大会」が定期的 に開催されている。ここでは、各地域の取り組みを互いに紹介し合うことにより、 地域間の情報共有や人的ネットワークの構築が図られるとともに、他地域には負けられないという適度の競争意識の醸成が図られ、各組織が切磋琢磨しながら地域を盛り上げていくきっかけとなっている。 また、地域と行政(市)が「直接的・横断的」に「分野別」で協議を行う「円卓会議」も定期的に開催されている。ここでは、防災や地域福祉、社会教育といった 共通のテーマについて地域と行政が対等な立場で議論することにより、地域課題の解決に向けた情報や知恵の共有が図られている。 地域内における課題や取り組みを都道府県の枠を超えて共有し、相互に学び合 い、高め合うという新しい取り組みも始まっている。 島根県雲南市と三重県伊賀市、同県名張市、兵庫県朝来市の 4 市は共同で、地域 住民が自ら多様な活動や事業によって暮らしを支える「小規模多機能自治」のあり 方に関する検討を行ってきた。 平成 26 年度においては、「小規模多機能自治」に取り組む全国の市町村への個別 訪問や地域ブロック会議を開催し、各団体における情報や課題の共有を図るととも に、「小規模多機能自治」の推進と諸課題の解決に寄与することを目的とした「小規模多機能自治推進ネットワーク会議」を設立(平成 27 年 2 月 17 日)し、今後、 同様の活動に取り組む全国の自治体(設立時加入団体:142 団体)相互の情報交換 や連携を図ることとしている。 |
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4.「今回説明を受けた雲南市の取り組みの特徴と留意点」 ・地域自主組織とは 対象:地縁による様々な人、組織、団体 活動:長所活かし補完しあう =小規模多機能自治 ・小規模多機能自治組織と自治会・町内会・区とのちがい
生涯学習だけではなく地域福祉と地域づくり等の幅広い市民活動の拠点へ 自主運営が柱ではあるが、地域づくり担当職員による支援を受け活動。 ・地域自主組織のポイント ■自らの地域は自ら治める ■地縁でつながる様々な人、組織、団体が連携し相乗効果を発揮(地域の総力) 子供から高齢者まで性別にかかわらず。 単位寺自治会だけでは解決が困難なことを解決! ■イベント型から課題解決型へ! ■地域力を活かすこと! ・制度改善による活動基盤の強化 H24年まで:第1ステージ:基礎的基盤の整備(組織化・活動拠点等) 交流センター移行3年目に(H24)交流センターの機能と組織を検証した。 @ 交流センター職員と地域自主組織の方向性について A 地域福祉の方向性について B 生涯学習の方向性について C 施設関係の方向性について 結果は組織機能の強化の方針としてその方向性が定められた! その中で地域自主組織は地域課題を自らが事業化して解決する方向が打ち出された。 ・持続可能な地域社会の仕組みづくりのポイントとしては次の6つが示された。 @ 地縁型の住民による住民の為の組織であること。(世帯主型でなく一人一票制) A 地域内の多様な主体が参加している事。(地縁型組織、目的型組織、属性型組織) B 組織体制が確立されている事。(会則、執行体制、議決機関、監査機関の存在) C 活動拠点がある事。活動分野が3つ以上ある事。 D 課題解決指向であること。(地区計画策定等) ・地域と行政の協議の場 円卓会議方式をH25から採用 市・議会・自主組織が直接的に横断的に分野別で協議する ・円卓会議方式の特徴 ■フラット性(それぞれ対等な立場で参加) ■直接対話方式により、共有、協議、協働を促進する場 ■主役はテーマ(共通テーマを議論) ■横の情報交換の場としても活用 ■分野別円卓柿木も設ける ■原則公開、透明性の確保と多様な参画を目指す ■話しやすい規模で構成 ■「組織」ではなく「会議」 地域課題を解決する場 ■基本的には会議ルールもこの場で確認し、決定 こうした活動を実践する中で、朝来市(兵庫県)、伊賀市(三重県)、名張市(三重県)とでネットワーク会議を設立、全国の自治体に呼び掛け活動の輪を広げている。 |
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5.「雲南市の取り組みを研修しての考察」 ・合併による広域化を実現はしたものの、合併後の全域が過疎指定を受け高齢化率は約33%である。 財政的に見ても経常収支比率85.3%、実質公債費比率13.4%、将来負担比率84.3%、財政力指数 0.25という状況であり、地方債残高354億6700万円は高山市の351億8200万円と比べて少し大きす ぎる額と受け止めます。積立金現在高から見ると雲南市は111億円と健闘しているが、(高山市は 444億円)合併に関する投資が将来負担比率を引き上げている姿が見て取れる。(特に財調基金は 雲南市14.3億円、高山市228.4億円と比べてみれば財政的余裕はこの先少し危ぶまれる状況) ・高齢化の進展と人口減少はこれからも進むと予想されており、協働のまちづくりを推進するバック グラウンドでもある。 ・合併後いち早く地域自主組織を立ち上げたことで、小学校区を単位とする地域自主組織の活動は盛 んであり、様々な事業を展開して現在に至っている。 ・その柱となっているのが交流センターの自主運営(自主組織は指定管理として財政基盤とする)と 、多様な組織を包含した地域自主組織の設立である。 ・より広範な組織としての地域自主組織は、地域福祉の向上、生涯学習の拠点のほかに地域づくり の組織として活動している。 ・地域ごとの課題に機動的に対応できる、小規模ながらも様々な機能を持った課題解決型の住民自 治を目指している。それが「小規模多機能自治」と位置付けている。 ・雲南市制度改善に伴う活動強化に見る課題。
雲南市はH25に地域自主組織の制度改善による活動基盤の強化を打ち出された。これはH24年に交流センター移行3年目の検証結果を受けて、その活動の第2ステージへとして打ち出されたものである。上の図にあるように、設立時の活動の3本柱である「地域づくり」、「地域福祉」、「生涯学習」の枠を拡大し、より幅広い市民活動の拠点づくりを目指したものである。そして下の図にあるように拠点施設を活用した事務局体制を充実し、地域課題を住民自らが事業化して解決していく方針を打ち出している。事業化に際しては民間事業者と連携して対応することを念頭に置くと説明された。 しかしその中には「持続可能な地域づくりへの対応」が求められており、観光・交流、農林業、施設管理、人材育成、人材確保の分野への対応が含まれる。その内容からしてまさに行政が担ってきた地域振興の根幹部分である。こうした分野は支所の機能と本庁の関係を含めて分権の視点も加えて対応すべき政策課題である。 本当にそこまで地域自主組織が担えると考えておられるのかと質問したが、これからの課題であると素直に認められた。 限られた予算、限られたスタッフ、地域づくり担当職員の支援があるとは言うものの、そこまで地域に求めることは可能なのだろうか、少し無理があると感じた。 高山市が、基盤整備部門の一部機能をまちづくり協議会へ委ねたように、交付金があるからとして行政の根幹の事業分野にまで対応させようとすれば、住民からは反発も出てうまく機能していかない。一緒に考えることは必要である。しかし応分の対応という部分もある。行政はその辺の目配りを忘れてはならないのではないか。 雲南市は、円卓会議においてそうした問題点を十分協議できているのであろうかと感じた。 後で論ずることになるが、地域内分権には「行政内分権」と「住民自治による地域分権」があり、それぞれが補完関係になければうまく機能しない。 後者が何でもこなしていけると考えるのは少し無理があると感じている。 |
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6.我が国における地域内分権推進の背景 ここで一度地域内分権推進の背景について、改めて述べておこうと思う。 地方自治体は、自己決定と自己責任に於いて魅力あるまちづくりを進めていくことが求められており、市町村合併や行政改革等を通じてその規模と能力を充実強化してきたところである。しかし国・地方を含めた厳しい財政状況、グローバル化や少子高齢化社会の到来、急速に進展するであろう人口減少問題を含め、急激に変化する社会経済状況により、地方自治体はより一層の効率的かつ効果的な行政基盤の構築を迫られてきた。 核家族化や都市化の進展は地方都市に於いてよりゆがんだ形で表れており、これまでの様な過剰な行政サービスは困難になるばかりか、そのことが地域コミュニテイ崩壊の原因にもなってきたことを考えると、地域が本来持つ住民自治の力をこれ以上低下させないことが肝要であるり、その対策が求められてきている。 こうした状況下では、住民自治を尊重し、住民や地域コミュニテイ、NPO等が協働し、多様な主体が課題を発見し解決していく仕組みや、行政と住民が相互に連携し地域力を創造する仕組みを作ることが必要となる。その仕組みを「地域内分権」として推進していくことで、持続可能性あるまちづくりが可能となるとされている。 7.域内分権とは だは地域内分権とはどうしたことを言うのか、下関市の説明図を基に解説してみる。
地域内分権は大きく2つの手法に分けることができる。 @ 行政内分権 広域化した行政内で、本庁機能の一部を住民により近い行政機関へ移すことで、地域の実情を 反映した行政サービスの実現を目指すもの。 A 住民自治による地域分権 一定区域内で生活する地域住民がまちづくり組織を作り、行政と対等な立場で協力しながら地 域課題の解決や地域活性化に主体的に取り組む仕組み。参加と協働によるまちづくりである。
こうした内容を理解し上で、補完性の原理に基づいた自助・共助・公助の考えに基づく公共的サービスの担い手を地域に育成していく必要があると言われる。 その上で、厳しい財政状況への対応、職員数の適正化、市民ニーズの多様化・複雑化への対応、市民協働の推進、人口減社会へ適応できる公共施設のありかた、自律的・主体的な地域社会の形成等へ対応していくべきであるとされている。 |
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6.高山市における地域内分権を推進するためのいくつかの課題について考える ・行政内分権 合併で広域化した自治体にとって極めてオーソドックな手法であるが、住民にとって身近な支所の機能を分権によって充実し、地域の課題に対応していく手法である。 高山市は合併当初一定期間経過後、方面別支所に収れんする等を表明していたが、その辺は現在あいまいな状況で推移し、今でも支所の建て替えが進行中である。 総合支所として残すのならば、その事務委任も含め行政内分権の方向性をはっきりと打ち出すべきなのではないか。合併特例期間を活用した10年間の地域振興特別予算と、地域審議会の総括がどうなされたのか。されたのならばその検証の結果は市民にわかりやすく説明すべきと考える。
・コミュニティスクールに関して 地域内分権の教育版としての位置づけから、学校と地域が一体となり子供を育てていくコミュニティスクールの展開も急務である。 少子化からかつての自治体ごとにあった小学校区・中学校区の在り方は大きく揺れている。旧高山地域では小学校区の見直しは放置できないところまで進んでいる。 これまでの課題先送り型の教育行政では対処しきれなくなっている。教育委員会は積極的に動くべきであるし、一歩先をリードして未来を先取りする政策を打ち出す時期に来ている。地域からの要望が出てこないからなどと言っていられる状況でないことは、これまでにも指摘してきたところである。 協働のまちづくりの視点からは、この際コミュニテイスクールの導入と併せて、よりよい地域の教育環境の樹立に関しても未来像を示すj気に来ているのではないか。
9.議会主催の地域別市民意見交換会に出された「まちづくり協議会」への不満 高山市はまちづくり協議会を受け皿として、協働のまちづくりを推進しようとしている。これは雲南市で設置されている地域自主組織としての位置づけである。 しかし先に述べたように、相当な不協和音が出ているのも事実である。 昨年の(H27)議会主催の市民意見交換会においても「まちづくり協議会」関係で116件と多くの意見が出されている。(文教産業委員会関係では、他に産業振興や教育関係で93件の意見があった) そうした意見の主なものを列挙してみる。 ・組織とその運営に関する意見(組織内での連携は可能なのか) ・役員任期に関する意見 ・要望等の優先順位に関する意見 ・市内・支所地域一律の基準で設立することへの疑問 ・協働のまちづくりの中身が、役所の仕事を肩代わりさせられているという意見 ・行政主導での設立では? 行政は組織に何を担わせたいのかという意見 ・町内要望の優先順位付け等は行政の持ち分ではないかという意見 ・全世帯を対象としているが町内会加入率が低い中では問題が多い問う意見 ・小学校区で組織を設立しているが旧市内では問題が多いのでは問う意見 ・活動資金の問題と役員のボランテイアの関連での意見 なんでもまち協でこなしきれる問題ばかりではないという意見 ・まち協の活動目的等が市民に周知されていないという意見 ・通学区の問題などは大人の論理でその対応が遅れていると感じている まち協はそれらを調整し意見具申できるのかという意見 ・市議地と支所地域一律のルールの下での設立には問題ありという意見 ・事務局体制が整わない限り継続性ある活動は無理である 3名は欲しいなかでの予算処置と交付金に関する意見 ・今年度の要望の対応がされないうちン次年度要望をまとめさせられる矛盾 ・町内会要望は町内会で行うべき ・まち協でハード事業の順位付けなどは無理 ・まち協と町内会の情報共有や連携がしっくりといかない 同様に行政との間でも同じ思いがあるという意見 ・道路修繕等の順位付けに関しては100%納得するものではない ・行政がやれる事項をまず説明し、地域でやって欲しいのは何なのかを説明すべき ・行政の仕事をなぜやらなければならないのか 「資金はいらないからまち協はやらない」といえるのか ・市道の維持主膳などを含めると現状の予算の倍額以上が必要と感じている ・支所地域に関して市は一律に考えるのではなく予算面で特区的な考えが欲しい ・市はまち協に事業を丸抱えさせている ・まち協と名前は変わったが行事的には社教の事業の継続、 本来の使命や役割についてについては ・人を集めるから集まる体制への転嫁をお図らねばならないのでは ・なんでもまち協に委ねる市の体制は検討すべきなのでは ・職員負担を減らすためにまち協にげたを預けているのでは ・自治体としての仕事をはたしてこそ市民生活を守れるのではないか ・広い地域の活動に1000万円の予算では対応は無理 ・まち協の講演会では災害時には役所は当てにするなと言われる ・まち協の活動に早く成果を求めないでほしい ・まち協の活動に先が見えない。要望を一本化しても本庁の対応がバラバラ。 知恵を絞っても財源もなく事業実施には限界を感じている ・役所の仕事を肩代わりするためにまち協が始まったのか 等です・・・ かいつまんで言えば ○行政の押し付けではないか。 ○担い手が偏り持続可能な制度なのか ○役員の任期と出身母体の任期の調整から継続性は担保されるのか ○支援金に絡む不満や疑問が多く、地域振興と両立して地域づくりはできるのか ○事務局体制は適正なのか、委任される仕事が増えることはないのか ○多様な主体とは言うものの町内会等既存の地縁組織中心の構成ではないか ○市道等の修繕案件などは地域自主組織に委ねるべきなのか、 ○構成メンバーの偏りはないのか、女性や若者の参加はどうやって確保できるのか ○組織がフラット化していない。 またしてもピラミッド型を目指す組織となっていないか。 ○地域を支えるという事は、行政との役割分担が大切 あまり多くの課題を押し付けられてもこなしきれない。 等多くの問題点を議会主催の市民意見交換会の席上でも指摘されている。 尚、まちづくり協議会を運営していくにあたって、議会は何らかの関与が必要なのではないか、ま た議会のアドバイスを求める意見もあった。 又少数ではあったが協議会設立を積極的に受け止め、支援金などの役割を肯定的に受け止める意見もあったことを付け加えておく。 |
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10.高山市における課題:行政内分権と住民自治によるまちづくり 支所地域の不満の根底には、地域自治組織の活動による地域の支えあいの必要性 が言われ、その為の地域内分権の仕組みづくりと説明はされるものの、肝心の行政の立ち位置があいまいだとする不満があるのではないか。 市長は「地域は見捨てない」と繰り返し明言するが、市と支所長の権限に言及し行政内分権によるまちづくりの方向性にはついてはだんまりの状況である。合併時に一定期間後は方面別支所等の考えを示されたことはあるが、いまだに支所の建設は続いており、総合支所に対する見解はあいまいなまま推移している。 複雑化・多様化する行政課題に対処するためには、より身近な範囲で課題を解決すること、及びそうした仕組みで対応することが必要とされている。そうした目的で行政内分権を進め支所に権限を移すことは、地域内分権の一つの柱でありおざなりにできない重要な問題でもある。 しかし地域内分権を進め「協働のまちづくり」を進める中で、必要不可欠なことは地域自主組織と行政の連携である。その意味からいえば地域内分権の一つの柱である行政内分権については、その在り方をもう一度議論する必要はないのか、一考すべきと考える。
もう一点「協働のまちづくり」の構想の中で、行政の持ち分としての政策の柱をきちんと説明する必要性についてである。 愛知県高浜市は事務のアウトソーシングを推進し、行政改革の方向性をきちんと市民に説明している。その体制内で地域自主組織の活動を推進し、持続可能なまちづくりへの道を明示している。役割分担の明確化である。 総合支所方式を残すなら残す。方面別支所で課題化帰結を探るのならその体制を住民にきちんと説明する。そうした対応が必要なのではないか。 こうした地域振興に関する政策は行政がきちんと対応していくべき分野である。 それゆえに行政は地域振興に関しては何を担い、地域自主組織とどのような面で連携して事に当たるのかの根本を示すべきと考える。 何遍も言うが、支所地域の協働のまちづくりには、産業振興分野の課題解決への 道筋が必要なのである。 もう一つ気になることがある。行政はあまりに組織の立ち上げと支援金のありかたを急ぎすぎたと考えるし、その運営に当たっても少し押し付け気味に見えることであると感じる。 又視察した雲南市の例でもわかるように、行政はあまりに地域自主組織の活動の中に多くを期待しすぎるきらいがあるのではないか。世間一般の論調も少子化が進み人口減少が加速度的に進むと、地域コミュニテイの再建を通して地域の活性化を図らねばという論調が多すぎるように感じている。 あくまで住民自治の部門はまずは地域の支えあいである。そして多様な主体がその活動の原動力となる事である。現状では既存の地縁組織依存しており、多様な主体の多様な活動をまとめ上げていく所までには至っていない。 そうした意味からは、支所地域と旧市内一律のルールで組織を立ち上げたことの是非も問われるのではないか。 そうしたことを踏まえ、住民自治によるまちづくりと行政内分権の連動は必要なことであり、双方の活動が相まって地域の活性化が図られるものでる。特に支所地域のそれは、行政主導の産業振興との密接な関係を重視してかねばならない。 その為にはその活動を担保する基本的政策基盤が必要であり、高山市でいえば「協働のまちづくり条例」の制定であり、その上位にあって市政運営の根幹を示す自治基本条例の制定である。
今回視察した雲南市でも自治基本条例に地域自主組織の在り方を明示し、その中での活動推進を位置付けている。当然行政の責務は謳われておろうし、第3ステージとして位置付けた「新しい公共」の創出に当たっては、市民と行政が垂直的関係から水平関係への移行を述べ、それに伴う行政の責務を打ち出して説明している。
この辺で行政内分権についての見解を示し、支所と支所長の権限とその委譲についてはっきりと述べる必要があると考える。、地域住民にもその判断を求める時が来るはずである。地域自主組織に委ねる住民自治の範囲だけでは、地域内分権は機能しない。地域資源を活かした産業振興と連動しなければ支所地域の活性化は達成できない。
今後公共施設管理計画を策定すると言われるが、その期間は30年を想定すると言われている。こうした中ではファシリテイマネジメントによる、経営にとって最適な管理運営を求めるという対応もあろうかとは思うが、廃止・統合の議論も避けて通れないところである。 こうした面でも市政のかじ取りがどうなっているのか示せない中では、住民自治による地域経営などと言っても、地域の住民からは「それじゃ行政はまず何に切り込んでくれるのかとの疑問が出てくるのも当然と言える。 自治基本条例の制定と総合計画条例の見直しにより議会基本条例の成果を上げる必要性を訴えて、今回の報告とする。
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