身近の変化を数字で把握しておこう!
 グローバル化が言われて久しいものがあります。私たちの身の回りでも知らず知らずのうちに大きな変化が表れています。
特に経済分野では、地域の生活を守る卸小売りの商業環境に大きな変化が生まれてきています。
 H11年度とH14年度に経済センサス調査が行われましたが、それまでとは調査項目の変更等がありそれまでの調査結果とは一概に比較検討することが出来なくなりましたが、今後の人口推計とも連動するような変化が表れてきています。
 高山市でも平成27年度からの第8次総合計画を策定したところですが、現状値として記述されている中には平成25年度(2013)値ばかりでなく、23年度値(2011)、24年度(2012)値なども含まれているのが現状です。
 このあたりでもう一度現状を確認しておく必要があります。人口動向などは身近な2010年から2015年間のデータを使い、イメージではない直近の数字で事実を確認していきたいと思います。
使用データは
・経済センサス調査
・高山市各種発表データ(高山市の商業、高山市の工業、高山市の観光等)
・高山市財政統計
・市町村財政基盤データ
等です。
1.人口動態から今後の産業構造を考える
@人口減少と人口3区分の変化
この6年間で起きている人口減少の姿

2010年 2015年 増減人数 増減巾%
0〜14歳人口の増減 13、181 12,242 -939 7%減
15〜64歳人口の増減 55、222 51,314 -3、908 7%減
65歳以上の人口 24,909 27,382 2、473 10%増
75歳以上 13、071 13,965 897増 6.84%増

高山市人口推計 H2015実数 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年
65〜 27,795 28,601 28,181 27,680 27,049 27,082 26,154
15〜64 49,994 46,753 44,156 41,167 37,780 33,666 30,797
0〜14 12,008 10,533 9,420 8,893 8,882 8,689 8,048
89,797 85,887 81,757 77,740 73,711 69,437 64,999


H2015実数 2020年 2025年 2015比 2030年 2035年 2025比 2040年 2045年
65〜 27,795 28,601 28,181 386 27,680 27,049 1,132 27,082 26,154
15〜64 49,994 46,753 44,156 5,839 41,167 37,780 6,376 33,666 30,797
0〜14 12,008 10,533 9,420 2,588 8,893 8,882 538 8,689 8,048
89,797 85,887 81,757 8,040 77,740 73,711 8,046 69,437 64,999


 高山市人口動態と将来予測については、これまでの実数とH20からの人口予測を合体させたグラフです。傾向だけ見ていただきます。
 人口3区分の将来推計を見ていただきます。H25年度ではH15年度比で生産年齢人口と言われる15〜64歳人口が5,839人減少します。この数字はかつての高山市の主要産業の一つを支えた就業人口が消えてなくなるという数字です。(ちなみにH22の就業者数では農業:5054人、建設業:4982人、製造業:6123人、卸小売業:8450人、飲食宿泊:5267人、医療福祉:5121人でした。)
 さらに20年後2035年を見てみます。こちらの生産年齢人口は2025年からさらに6、376人減少すると推計されています。ここまでくると今後20年間に、就業人口が合計で12,215人が減少するという事です。高山市「人もの仕事総合戦略」は、高山市第8次総合計画を補完する「人・もの・仕事に特化した計画」であるとしています。中期目標として本当にそのような対策が打てかつその効果をあげられるのか心配になります。産業政策として本当に人口減少に歯止めをかけるという様なところまで踏み込めるのでしょうか。少し考えさせられます。
 指数は2015年を100とした指数です。生産年齢人口は急激にその指数を低下させていきます。年少人口は一定で下げ止まる傾向にあります。そんな中で高齢者人口は人口減少化社旗の中でも高止まりの傾向にあります。こうした変化を指数としてみていますが、少なくとも2030年位までには変化を受け止められるような手当が必要なのではないでしょうか。
A就業構造の変化で今後を予測する

 2014年と2011年の経済センサスのデータです。就業人口では2014年調査で48,491人と前回に比して1,173人の減少となっています。大きく減少しているのは建設業の743人、卸小売業の970人。大きく増加しているのは製造業の778人、医療福祉の1,353人。高齢化と少子化が進むなかにあって生産年齢人口の減少も顕著になってきており、これから加速度的に人口減少が進みます。
 先にみたように、今後の10年間で生産年齢人口が約5800人余減少すると予測される中では、就業人口構造が大きくシフトしてしまうのか、あえて言えばある業種が今後大きな経済環境の変化で淘汰されてしまうことがあるのか、それとも人口の縮小に伴ってバランスよく就業構造を縮小させることができるのか、よく言われる「クリエーティブシュリンケージ」と言われる創造的縮小へ向かえるのかが問われる分岐点にあるのではないでしょうか。
 相対的に地域経済のソフト化が住んでおり、今後もそうした傾向が進むのではないでしょうか。製造業の従業者数の増加はありますが、サービス的産業への移行がこれからも続くと見るべきであると思います。就業構造から言って高山市のモノづくりの産業は第1次産業と建設業、製造業であり、あとはサービス産業と見れなくもありません。
 そうした中でも卸小売りの就業環境の変化は顕著であり、果たして増加傾向にある医療福祉分野が今後とも持続的成長が可能で就業の受け皿の一つとしてその機能が果たせるのかも問題です。
 
次回はそうした商業環境の変化と、地域の総所得と総生産など高山市の経済基盤の変化を見てみたいと思います。