高山市上水道事業の推移と今後の展望
 高山市の上水道事業は、翁天気に差し掛かろうとしています。昭和25年戦後の復興期に事業認可を受け、杉戸前名古屋市長(当時は名古屋市技官)の助言を得て、宮水源からの自然流下よる導水で始まった事業ですが、市域の拡大とともに数字の拡張事業を終え、平成17年には市町村合併による周辺地域の水道事業を吸収し、平成19年度からは指定管理者制度による運営を取り入れてきました。
 また平成26年には周辺部の簡易水道事業を統合し、新たな企業会計をスタートさせたところです。しかし規模拡大の時代から、ダウンサイジングも含めた経営の時代への転換が求められ、公共施設等の総合管理計画策定が求められる時代にあっては、水道事業そのものにも経営戦略が求められ、高山市の平成29年2月に「高山市水道事業経営戦略」」を策定したところです。
 細かな戦略やビジョンの方向性については、後日詳しく目を通す必要がありますが、取り合経ずこうした時代の変化に対応していくため、現状の姿を見ていただきます。もちろん近年の公会計改革の方向性も併せて検討する必要がありますが、これまでの数値データの蓄積からデータのグラフ化を通じて現状を把握してみたいと思います。
概況




高山市の上水道事業は戦後昭和25年3月に事業認可を受け、同年8月に事業着手。同29年12月に完成した。当初の計画給水人口:50,000人、計画給水面積318ha、計画委最大給水量10,500t/日、計画最大給水量21,0l/hi ,宮水源の伏流水を自然流下で6q下流の城山配水池へ導水するというものであった。昭和27年5月には通水式を行い、同年末では給水申し込み件数3,200件、通水件数1,862件を数えた。その後
第1次拡張事業:昭和38〜39年度
第2次拡張事業:昭和45〜55年度
臨時水源拡張:昭和53年度
第3次拡張事業:昭和57年〜平成2年度
宮水源増強事業:平成9=11年度
宮導水路回収事業:平成14〜17年度
市町村合併による各町村水道事業並びに簡易水道事業の引継ぎ
指定管理者制度の導入:平成18年度〜
国府第2次拡張事業:平成11〜19年度
水道事業及び簡易水道事業の統合:平成19年〜26年度
水道事業5か年計画後期事業:平成22=26年度
水源保全条例の施行:平成17年度〜
事業統合の官僚:平成27年度
平成27年度〜高山市第8次総合計画に基づく事業
平成28年度策定:高山市水道事業経営戦略(平成28〜37年度まで)
関係資料  ・高山市水道事業経営戦略
        ・高山市水道事業のあらまし
        ・高山市水道ビジョン
        ・高山市公共施設等総合管理計画
 このような事業の経過をたどり現在に至っていますが、提示したグラフの数値は期間はそれぞれですがこれまでの事業の経過を示しています。行政区域人口の推移は合併により変わりましたが、各町村は多くの簡易水道事業を抱えていましたので、事業統合後の年間総給水量が現在の水準を示しています。叉次のグラフでは水道事業の給水人口と総給水量の推移をみていただけます。
 最期のグラフでは、平成7年からの事業に伴う建設改良費と企業債償還の推移を見ていただきます。先に示した事業の節目での資本投下と市債償還の様子が把握していただけます。H19、20では起債の一括償還が行われています。
簡易水道事業の統合と企業会計化の動向











 高山市はH17年に合併し、各町村の水道事業を引き継ぎました。その中では国府町の水道事業以外は簡易水道事業、飲料水供給事業であり、順次平成26年度までに事業統合を済ませています。
 最初の4つのグラフでは水道事業における事業収支、並びに資本収支の動向を見ていただきました。。それぞれ簡水統合の影響が出ている姿をご覧いただけます
 5番目のグラフは、水道事業の後世代負担率を見ていただきます。これも簡易水道の事業統合後は高めに推移しています。これは簡易水道事業の起債残高が作用しているものと考えます。これを3番目のグラフと比較してみていただくと、平成19年の起債の繰り上げ償還前後で負担率は大きく変化しています。このことはそれまでの拡張事業等の建設投資に多額の起債を用いていた為、その後年度負担率、いわゆる後の世代への付け回し部分が多きかったことを意味しています。
 最後のグラフでは、減価償却費と単年度収益並びに年度内部留保資金合計の推移を見ていただきます。簡易水道統合後は、減価償却費は多くなるが年度収益は頭打ちで推移している姿が見て取れます。給水人口が増えている中でも収益構造の変化を受け止めていかねばなりません。
高山市公共施設等総合管理計画と高山市水道事業経営戦略
 ご存知のように地方自治体は、高度経済成長期以降において、数多くの公共施設を整備してきた。
また、平成の大合併により合併した自治体は、結果として多くの公共施設を保有することとなった。
これらの公共施設は老朽化が進み、改修や建て替えなど更新の時期を迎えているとともに、人口減少や少子高齢化の進展により、公共施設の利用需要も変化している。
この傾向は、高山市においても同様であり、持続可能な行財政運営を進めるうえで大きな課題となっている。
 そのため、本市では、平成26(2014)年4月に「高山市公共施設白書」を作成し、本市における公共施設のあり方について検討をすすめていくこととした。
同時期、国から各地方公共団体に対して「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」の通知があり、「公共施設等総合管理計画」の策定が要請された。
 その中の一つの分野として上水道事業は位置づけられており、計画期間は30年とする長期計画として対応していくことになっています。
上段で見ていただいように、高山市の事業は長い年月の中で様々な対応を迫られて現在まで来ています。その中で管路延長1,166q、現在給水人口88,432人を対象とする事業に取り組んでいます。
 そうした長期の対策が必要とされる中で、総務省は平成20年度を期限として、全国の公営企業の経営戦略の策定を求め、高山市も平成29年2月に「高山市水道事業経営戦略」として策定したところです。
水道事業はこれまでも中長期の計画として「地域水道ビジョン」を策定してきたところですが、今回の経営戦略とは従来の中長期計画としての水道ビジョンとどう違うのかの解説がされています。
経営戦略 これまでの中長期ビジョン
戦略性ある選択と集中が旨。必要な整備案件をすべて盛り込むのではなく、どれを先に実行し、何を後回しにするのかを考える。 整備案件はすべて盛り込んで列挙していく。
つまり経営戦略とは優先順位を決めることといわれます。
経営戦略のポイント
@予算制約を前提とする 予算の制約を定めたうえで、整備案件を優先順位にしtがって計画に盛り込む。。更新需要に対し財源が枯渇してくる中での対応であり、必要とされる施策のうちで何をやめるかを決めることでもある。
Aその評価軸となる経営ビジョンが必要 24時間365日、たとえ災害時においてもすべての住民に安心安全な水を供給すること。

経営戦略であぶりだされる方向性。
対策を施さない場合との比較 将来のあるべき姿と現状のギャップとは、対策を施さないで放置した場合にも困れる将来の姿を含めるものである。
将来のあるべき姿とのギャップを問題という。その問題の解決策の体系が経営戦略である。
危機管理計画などの上位計画から具体的な下位計画にブレイクダウンする逆算方式 従来計画は施設整備計画に基づく将来見通しであったが、経営戦略は将来のあるべき姿から逆残して擬態的な施策を導くものである。
経営戦略の発想で施設整備を考えればダウンサイジングにいきつく。「入るを量りて出るを制す」とは限られた財源を踏まえ、何をやめることかを決めること。

経営戦略の着眼点
・住民負担を増やさぬよう地理的・時間的な優先順位に従って更新と事後修繕のメリハリをつけるつけること。
・総花的施策の積み上げ方式で料金値上げでつじつまを合わせないようにすること。

以上のような指摘があります。(参照:経グローカル2017年10月号日 自治体財政改善のヒント、大和総研鈴木文彦氏記事より)
高山市水道事業経営戦略に対する分析は、一連の公会計改革の取り組みもあり、詳しくは今後取り組むとして、今回は今までの分析数値の蓄積から現状を見ていただくこととします。
公会計改革により従来の分析手法ではそのまま数値の比較がむつかしいものがあるとは思いますが取り合経ずご覧ください。

H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28
配水能力A (?/日) 40,970 40,970 45,241 45,241 45241 45241 69899 69850
一日最大給水量B (?) 28,272 27,580 31,175 33,436 31272 30857 37748 38358
一日平均給水量C (?) 27,257 24,839 24,960 27,612 27711 27403 35552 35306
負荷率C/B (%) 87.4 90.1 88.3 82.6 88.6 88.8 94.2 92.0
最大稼働率B/A (%) 68.9 67.3 60.9 73.9 69.1 68.2 54.0 54.9
施設利用率C/A (%) 60.2 60.6 60.9 61.0 61.3 60.6 50.9 50.5


(千円) 減価償却累計 有形固定資産合計 土地 減価償却累計 有形固定資産−土地+減価償却累計 資産老朽化率
H23 9,818,246 16,772,661 701,220 9,818,246 25,889,687 37.9%
H24 10,271,204 17,015,868 701,984 10,271,204 26,585,088 38.6%
H25 10,719,127 17,215,399 701,984 10,719,127 27,232,542 37.0%
H26 13,461,521 14,713,043 701,984 13,461,521 27,472,580 49.0%
H27 20,695,119 21,249,691 1,147,867 20,695,119 40,796,943 50.7%
H28 21,173,145 21,257,919 1,185,020 21,173,145 41,246,044 51.3%


業務活動によるキャッシュフロー(円)
H26年度 H27年度 H28年度
当年度純利益 272,283,965 318,748,772 298,026,093
減価償却 600,363,270 858,460,040 849,611,697
固定資産除却費 26,768,288 30,954,947 40,493,906
開発費償却 130,400
特別損失 0 58,828,331
貸倒引当金の増減額(△は減少) 6,846,612 2,267,344 △ 7,047,688
賞与等引当金の増減額(△は減少) 10,246,000 1,375,000 221,000
修繕引当金の増減額 0 △ 4,000,000
長期前受け金戻入 △ 116,354,351 △ 180,860,528 △ 184,043,910
受取利息及び引当金 △ 6,582,138 △ 6,364,042 △ 4,622,464
支払利息及び企業債取扱諸費 96,641,034 159,695,336 147,277,043
未収金の増減(△は増加) △ 12,266,382 △ 7,002,271 △ 238,184,908
未払金の増減額(△は減少) △ 82,659,513 58,517,549 137,563,418
棚卸資産の増減額(△は増加) 3,054,883 3,823,198 561,662
前払金の増減額(△は増加) △ 12,140,000 9,010,000 3,130,000
預り金の増減額(△は減少) 1,218 734 △ 184
特定収入等の消費税調整 △ 1,730,191 △ 5,716,521
可年度損益収支益 △ 346,887
小計 785,986,399 1,246,695,888 1,092,097,475
利息及び配当金の受取額 6,582,138 6,364,042 4,622,464
利息及び企業債取扱諸費の支払額 △ 96,641,034 △ 159,495,336 △ 147,277,043
業務活動によるキャッシュフロー計 695,927,503 1,093,564,594 949,442,896
投資活動によるキャッシュフロー
有形固定資産の取得による支出 △ 268,868,189 △ 530,748,668 △ 927,497,296
無形固定資産の取得による「支出 △ 1,500,000
工事負担金による収入 20,481,949 15,521,353 103,100,274
投資活動によるキャッシュフロー計 △ 249,886,240 △ 515,227,315 △ 824,397,022
財務活動によるキャッシュフロー
建設改良費等の財源に充てるための企業債による収入 100,000,000 300,000,000 300,000,000
建設改良費等の財源に充てるための企業債の償還による支出 △ 267,644,436 △ 486,482,933 △ 493,462,965
財務活動によるキャッシュフロー計 △ 167,644,436 △ 186,482,933 △ 193,462,965
資金増減額 278,396,827 391,854,346 △ 68,417,091
資金期首残高 1,768,099,459 2,106,016,572 2,497,870,918
資金期末残高 2,046,496,285 2,497,870,918 2,429,453,827
H26年度 H27年度 H28年度
業務活動によるキャッシュフロー計 695,927,503 1,093,564,594 949,442,896
投資活動によるキャッシュフロー計 △ 249,886,240 △ 515,227,315 △ 824,397,022
財務活動によるキャッシュフロー計 △ 167,644,436 △ 186,482,933 △ 193,462,965
フリーキャッシュフロー 278,396,827 391,854,346 △68,417,091