10カ年決算カードによる高山市財政の経年比較:R4年決算議会(R3年度決算)
グラフで見る10ヶ年経年比較令和3
年度決算版(一部合併時からの比較としています
           高山市歳入歳出の推移
           歳入構造と自主財源の科目別推移
           歳出の推移
           負債と積立金の推移
           財政の体力と弾力性
           経常収支比率の推移
グラフで見る高山市普通会計10ヶ年経年比較令和3年度決算版
高山市歳入歳出の推移
(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
歳入総額 50,885,994 48,983,017 49,960,399 52,242,792 49,739,527 48,970,204 46,476,317 50,217,196 63,753,062 59,386,113
歳出総額 47,253,198 44,941,473 45,681,760 48,244,590 46,794,563 46,847,718 44,041,610 48,081,484 60,702,970 54,112,798
(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
歳入総額 50,885,994 48,983,017 49,960,399 52,242,792 49,739,527 48,970,204 46,476,317 50,217,196 63,753,062 59,386,113
歳出総額 47,253,198 44,941,473 45,681,760 48,244,590 46,794,563 46,847,718 44,041,610 48,081,484 60,702,970 54,112,798
歳入歳出差引額 3,632,796 4,041,544 4,278,639 3,998,202 2,945,009 2,122,486 2,434,707 2,135,712 3,050,092 5,273,315
翌年度へ繰越すべき財源 511,728 1,454,063 1,676,869 941,982 994,717 947,083 1,626,637 1,069,342 1,475,466 2,468,4150
実質収支 3,121,068 2,587,481 2,601,770 3,056,220 1,960,292 1,175,403 808,070 1,066,370 1,574,626 2,804,900
単年度収支 -234、915 -533,587 14,289 454,450 (1,095,928) (784,889) 415,528 440,370 508,256 1,230,274
積立金 1,178,501 1,492,154 336,609 1,139,699 225,533 199,798 88,164 101,863 78,845 49,481
繰上償還金 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
積立金取り崩し額 0 0 0 0 0 1,400,000 2,100,000 2,600,000 4,900,000 1,300,000
実質単年度収支 943、586 958,567 350,898 1,594,149 (870,395) (1,985,091) 2,427,364 (2,057,767) (4,312,899) 20,242
H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
地方税 13,783,817 13,637,884 13,468,772 13,387,991 13,573,119 13,614,220 13,517,077 13,612,887 13,188,683 12,980,740
地方譲与税等 1,880,310 1,903,035 1,922,626 2,716,101 2,447,875 2,616,782 2,712,500 2,772,898 3,092,659 3,894,429
地方交付税 17,559,328 17,551,156 17,136,018 16,118,762 14,775,205 13,564,037 12,941,331 12,808,834 12,741,112 14,051,181
分担金使用料等 1,592,123 1,555,257 1,637,008 2,026,799 2,056,900 1,832,627 1,777,640 1,790,487 2,723,710 3,523,593
繰入金 483,339 503,141 532,860 427,010 1,153,925 2,674,999 2,854,647 3,838,056 6,639,712 3,764,453
繰越金 2,535,163 2,032,796 2,441,544 2,878,639 2,398,202 1,944,939 1,422,417 1,934,770 155,712 2,250,092
諸収入 2,850,900 2,662,657 2,555,010 2,497,676 2,227,701 2,291,912 2,037,636 2,354,772 1,658,207 1,360,033
国県支出金 7,901,014 7,037,091 8,236,561 9,809,414 9,618,745 7,984,636 7,591,664 9,066,992 20,000,748 15,021,992
地方債 2,300,000 2,100,000 2,030,000 2,380,400 1,487,900 2,069,900 1,621,400 2,037,500 2,827,400 2,539,600
50,885,994 48,983,017 49,960,399 52,242,792 49,739,572 48,594,052 46,476,312 50,217,196 63,753,062 59,386,113
 R3年度はご覧のとおりの数字となっています。 R2年度にコロナウイルス禍の中で膨れあがった歳入歳出ともに少し落ち着いたと言える。繰入金の減額、国県支出金の減額などであるが、その中で地方交付税の増加が目立っている。これは普通交付税の中でコロナ禍の対策として、基準財政需要額の加算が特別経済対策の項目で約6億8千万円設けられてのが主な要因と言えます。基準財政収入額の落ち込みもあり地方交付税額の増額要因となったと言えます。
 こうした中で、今後税収構造の縮減も予想され歳入構造とそれに伴う歳出面で工夫が今まで以上に必要となります。いわゆるクリエ一ティブシュリンケィジという事で、補助金の見直し等も頷けるところです。
 当年度の収支を観ると、形式収支は、52 億 7,298 万円の黒字となり、翌年度へ繰越すべき財源 24 億 6,842 万円を差引くと、実質収支 28 億 457 万円の黒字となる。 次に、このうちに含まれている前年度実質収支の黒字分 15 億 7,379 万円を差引くと、単年度収 支は 12 億 3,077 万円の黒字となり、これに財政調整基金積立金 4,948 万円を加え、取崩額 13 億円を差引いた当年度の実質単年度収支は、1,974 万円の赤字となった。
歳入構造と自主財源の科目別推移
R3年度は以上のとおりです。
 地方税は合併以後140億円台を維持していましたが、H24年度では減少に転じて以後130億円台で推移していましたが、R3年度でその130億円台を割り込ました。129億8千万円余です。
 地方交付税は上で見たような要因で昨年度13億円余の増加です。
 地方譲与税等の中には地方消費税交付金が含まれており、H27年度は消費税額変更の増額分が満額入ってきており(H26年度では一部加算)増額要因となりました。R2・3年度は森林環境譲与税が増額要因です。
 国・県支出金は先に述べたようにコロナ禍で大巾に増え、R2年度では約200億円、R3年度では150億円の計上です。
 高山市は地方債依存度を低下させる方向で努力してきましたが、R2.3年度ではコロナ禍もあり増額せざるを得ない方向となってしまいました。その為臨財債中心の起債の方向も改めざるを得ませんでした。
 H21以降景気低迷から地方税が減少しています。H26では134億円、H27では133.8億円、H28では135.7億円と低迷しています。H29ではわずかに微増となっていますがH30ではH28年並みの水準へH31では136.1億円台。R2では131億円台に。R3年度ではとうとう130億円を割ってしまいました。長期で見れば固定資産税収の停滞が足を引っ張っていますが、コロナ禍での経済的不振も加わっています。
 過去のデータでは22基金繰り入れは国府支所建設、駅周に見込んでいましたが駅周計画一部凍結(シビックコアの交流施設建設凍結)で約半額に。
 H25で500億円を割った歳入総額ですが、H27では消費税率改定による地方消費税交付金満額交付のの動向もあり、522億円まで回復しています。しかしH28では再び500億円を割り、497億4000万円弱となています。H29では48,5億94,0万円と交付税の減額が効いてきています。H30では約465億となっています。H31では502億円台に。しかし自前の稼ぐ力での増加ではなくどちらかというと依存財源によるものです。
合併以後歳入規模約500億円、歳出が約450億円と言ってきましたが、交付税の合併算定替えの終了もあり今後の歳入の動向が懸念されます。R2年度はコロナ対策の支出金等で前年比126%増の約637億円。R3年度Pでは593億円余となっていますが、早く安定した財政運営が出来る環境になる事が必要です。
 観光地としては国内客減少の影響、市民生活における消費の停滞が言われてきましたが、コロナ禍の中でそうした地元経済の弱点がより顕著になっていると言えます。
その辺の動向を下のグラフで読み取ることが出来ます。財政の硬直化の指数である経常収支比率とその逆の指数とも言える実質収支比率の推移です。合併特例対象年度とそれ以後では全く異なる動きをRB年度ではその逆転の様子が一目瞭然です。


(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
個人市民税 4,131,347 3,891,222 3,968,279 3,976,187 4,106,643 4,216,424 4,263,505 4,252,217 4,321,919 4,249,023
法人市民税 787,820 768,900 804,758 813,451 838,281 831,435 864,896 844,899 635,339 765,935
固定資産税 6,854,424 6,899,524 6,681,332 6,577,378 6,566,127 6,552,215 6,390,731 6,505,831 6,387,593 6,098,149
都市計画税 953,424 934,975 916,455 891,592 894,461 894,787 876,710 880,511 867,163 833,208
軽自動車税 224,160 227,759 231,194 235,365 283,016 291,121 301,262 313,280 338,600 345,482
タバコ税 607,344 683,846 642,515 648,740 629,699 589,677 573,650 570,781 529,590 568,011
特別土地保有税 0 0 365 0 1,330 10 385 0 0 0
入湯税 225,298 231,658 223,874 245,278 253,562 238,451 245,935 245,368 108,642 120,932
13,783,817 13,637,884 13,468,772 13,387,991 13,573,119 13,614,120 13,517,074 13,612,887 13,188,683 12980740

平成17年度を100とした場合の指数による比較
H17 H18 H19 H20 H21 N22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
市民税 100 102 121 114 103 99 100 106 101 103 103 107 109 111 111 107 108
固定資産税
・都市計画税
100 93.6 96 97.9 97.2 96.9 96.7 90.7 91 88.2 86.8 86.7 86.5 84.4 88.5 77.6 80.6

 歳入の内、市税の内訳を見てみます。市町村レベルでの主要課税科目は固定資産税。高山市も合併以後固定資産税が主たる税源となっている姿が顕著になっています。 過去の動向ではH20では不況の影響で法人市民税が落ち込みました。H21では大幅に低下しており、H25まで回復基調にはありません。H29では8億3000万余に、H30では約8億6500万円まで回復しましたが、H31では8億4000万円台に。しかしR2年度では景気の停滞が見て取れます。R3年度は前年の経済対策助成金の影響からか少し持ち直しています。個人市民税についてはR3年度は微減でした。
 固定資産税・都市計画税がH18の税率の統一にもかかわらずH23まで微増していますが、評価額の見直しや負担調整率によるものと思われます。しかしH24,25,26と減少が顕著となっています。平成27.28、29年では固定資産税65億円台まで低下しています。その後の状況はご覧のとおりです。R2では63億円台までに低下。R3年度は60億98百万円まで低下しています。都市計画税も同様の傾向にあります。
 地価の下落はそれ自体都市の集客力、稼ぐ力の低下に結びついており、都市計画と文化政策、商業政策の連動による観光まちづくりの充実が求められています

 タバコ税は健康志向の為消費本数は低下傾向にありますが、H22ではタバコ増税があり翌23年度は6億2千万円に増額。以後H25では6億8千万円となりましたが、H29では5億8千万円代、H30、H31では5億7000万円台となっています。R3では5億6800万円台に。
 入湯税が苦戦しています。H26では2億2千万円、H28では2億5、365万円に回復しましたがH29では2億3千800万円台に。H30・H31では約2億4500万円台となっています。インバウンドの影響がありこのところ微増だったのですが、H29では入湯客数は増加なのに収納率が低下するという事になっています。収納率の低下は経営難の裏返しとも見ることができ、複雑な思いです。R2では前年比約44%減の1億800万円台に激減。R3年度では1億2千万円台に。それでもH31.30の半額程度です。コロナ禍でインバウンドも減少、今後の観光政策の転機となる事が予想されます。
 ここへきて入湯税の使途を観光振興のみとするのではなく、鉱泉源の維持管理にも配分するよう要望が寄せられているんのもムべなるかなと考えます。又観光振興の安定財源を求めて宿泊税の議論が出ていますが、観光庁が言うようにDMOの自立化へ向けた安定収入の道は、自前で稼ぐDMCの議論なしには考えられないのでは?

 総額では不況の影響もある中で140億円を維持していましたが、H24では137億円まで低下、H25では合併後最低水準の136億円台に、H26ではさらに134億円、H27では133.8億円にまで低下、H28で135億円台と少し持ち直し、H29では136億円台、H30では135億円台、H31は136円台。R2で131億円台と何とか130億円台を維持してきましたが、R3ではとうとう130億円を割り込んでしまっています。今後の動向が注目されます。

 法人市民税の減少は地域の経済力の低下と捉えることが出来、様々な方面に影響が出てきます。H24での個人市民税の増は譲渡所得に関する増で一時的なもの。H25でも39.0億円を超えられませんでしたが、H26では39.6億円H27で39.7億円までに。H28ではかろうじて41億円に回復H29、H30、H31、R2では42億円台に持ち直しています。R3では微減となっています。
 以前のデータですが、個人市民税がH19からH21では約2億8千万円減少しています。個人市民税における所得割から考えるとこの3年間で地域の所得が約100億円減少したものと受け取れます。これも人口減少化社会の中で、地域の総所得が減少していくことの表れともとれます。特にこれから団塊の世代のリタイアによる影響が出てきます。合併後税収で義務的経費をまかなえる体質が維持できなくなっており、合併特例処置が終わるH26年度まで合併特例を活用した起債残高の縮減と積立金増額への努力が続きました。
 H27では消費の低迷が進んできており、観光客増に頼る地域経済の動向が顕著となってきましたが、人口減少と生産年齢人口の減少の影響が産業の基盤を危うくして来ています。人手不足、消費の停滞と市外資本の進出は地域の小売業や卸売業の淘汰を速めています。
 人口問題や、産業構造に関する政策の展開には、データ重視の腰を落ち着けた対応が迫られています。
基本的に観光による地域経済へのテコ入れが必要ですが、前提となる観光客入込数のカウントがそのまま地域所得の向上に結び付いていないところに問題があります。
行政は数字の調査と発表についてはひと捻りして、地域所得の向上に結び付かないその要因分析をしっかりと検証すべきです。議会は早くから産業連関表の導入で、エビデンスに基づく産業振興施策の充実を提唱してきました。ここ3年そうした取り組みが進められてきましたが、アフターコロナを見据えた経済産業政策や観光の動向には、大きな転換点に立った改革が求められています。
歳出の推移
 歳出の分類には、目的別歳出と性質別歳出の分類があります。一般会計の歳出予算には@款A項B目C節の4段階に分かれていますが、@〜Bの款項目は目的別の基準であり、Cの節に対応するのが性質別の基準となります。


(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
人件費 7,047,550 6,869,461 7,203,096 6,834,743 6,562,840 6,585,809 6,814,314 6,864,992 7,666,245 7,658,348
扶助費 6,566,499 6,844,497 7,315,449 7,632,050 7,969,261 7,673,182 7,726,073 7,880,131 7,866,240 9,743,863
公債費 6,106,942 6,020,048 5,851,722 5,660,945 4,818,238 4,591,729 4,391,323 4,126,833 3,864,937 3,638,659
物件費 5,887,884 6,040,187 6,114,028 5,985,890 6,205,712 6,428,689 6,753,084 7,118,446 7,325,583 7,991,866
維持修繕費 932,656 906,365 1,631,963 802,536 1,574,520 1,296,948 987,259 890,060 1,369,143 2,144,833
補助費等 3,884,552 3,541,868 3,255,334 3,889,470 3,857,427 3,793,972 3,554,826 3,894,974 17,003,961 6,826,983
積立金 3,189,171 2,263,935 1,224,986 2,211,851 1,481,280 2,237,032 305,405 3,179,523 3,036,471 3,649,143
投資出資貸付金 1,866,651 1,695,031 1,604,631 1,392,929 1,287,130 1,145,600 1,029,400 1,026,000 1,322,756 1,045,203
繰り出し金 5,134,072 4,981,886 5,021,274 4,941,758 4,967,944 5,265,242 7,600,442 5,142,063 3,719,903 3,818,959
投資的経費 6,637,221 5,778195 6,459,277 8,892,418 8,070,211 7,829,515 5,251,187 7,958,472 7,527,731 7,596,941
47,253,198 44,941,473 45,681,760 48,244,590 46,794,563 46,847,718 44,43,313 48,081,494 60,702,970 54,112,796
 ここで見ていただきたいのが、人件費と扶助費の動向、そして公債費の動向です。H26では定年延長の反動で少し人件費が増えていましたが、H28・29と65億円台に。定員削減化の努力とも取れます。しかしH30、H31では68億円台に、R2・3年度はでは76.6億円台に増加。これまで抑えてきた職員採用が限界に来たとも見れます。その分ここにきて扶助費の増加が目立ちます。H28では79.6億円台にR2では78億6600万円まで増嵩。H35年度くらいまでは伸び続けると予想されます。
 公債費については38億円台まで減少してきています。そうした中で投資的経費がH27で88億円、H28では80.7億円まで増高。地方創成がらみのテコ入れ等で増加ですがH29では78億円台へ。しかしH30で52億5000万円台に減少ですが、H31では災害対策もあり79億5千万円台、R2・R3では災害対策等は国・県の助成があり75億円台で済みました。
 H25での人件費減は定年延長による影響額です。そうした要因があってもH26年度では初めて扶助費が人件費を上回りました。こうした傾向がしばらくは続きましたが、ここへきて採用を増やさざるをえなくなってきています。
 合併後に顕著だったのは人件費・公債費・物件費・補助費等の増嵩でした。過去の経緯を述べればH18年度は前年に引き続き退職勧奨で100人規模の職員削減を実施。そんな中で、繰り出し金の増・投資的経費の増・扶助費の増が見られました。繰り出し金は下水道・国保等特別会計への繰り出し増です。
投資的経費は数年災害復旧・教育関連施設への投資等が目立ちましたが、H20では景気対策等もあり103億円を維持しました。その後H25では58億円まで低下しましたが、H27年H28年と地域創成がらみで80億円台を維持しました。H29ではご覧のように微減の78億円台ですが。H30では事業の狭間で52億円と低下しました。
その後は災害復旧やコロナ禍の関係もあり、75億円台を維持しています。今後市の著大事業が予定されており、高止まりが数年予想されているところです。
 

 投資的経費の推移を見ると、合併前までは歳出総額の約30%の割合であったものが、H25では約13%以下まで低下しています。雇用対策としても危機管理面からも業界の存続を考えねばならないところまで来ていましたが、H27では88億円に増加。それでもH29では約16%台です。H31でも16.6%でした。R2ではコロナ禍で他の経費の伸びもあり12.4%と指数は低下していますが、歳出総額が増加したためです。R3では14%台です。金額ベースではR2・3でも75億円台を維持できました。

 昨年度では、義務的経費からみると、人件費が76億円台。しかし扶助費が前年の78億円台から97億円台へと増高ですが、公債費は所管のピークを越え36億円台と安定期に入ったとも言えます。
合併後約100億円規模であった人件費は取りあへずここまで低下させることができました。しかし少子高齢化の社会状況から扶助費がH16年の38億円から76億円台まで増加、R3ではコロナ対策から97億円台までになています。結果として投資的経費が15%前後にまで回復しましたが、今後の扶助費増高の流れの中で老朽化した公共施設の維持管理にまで手が回らなくなる状況に、どう対処するのかが問われてきます。もっとも積立金の繰り入れなども考慮に入れていますが・・・。この傾向にアフターコトナの対応を加えて考えれば、一層苦しい局面が続くことと考えます。 
目的別歳出でみると、R2ではコロナ対策で総務費と商工費が増加しました。ざっと見てお178億円の予算が高山市につぎ込まれたたことになります。しかしこれまでに目立った効果といえば患者数がワクチン接種のおかげで減少したことぐらいですが、これはR3年度の成果です。R2年度といえば融資対策とイベント助成や経済対策メニューでの業界への支援でした。今後は財政構造の変化により、観光を基軸とした市政経営を強固なものとせねぼならず、経済分野への先行投資も必要と考えます。また観光まちづくりの基本は文化政策、商業政策と都市計画の連動です。そうした分野を束ねる司令塔不足がまちの方向性に影響を与えています。官民の役割分担を明確にして市政経営の時代を乗り切っていきたいものです。ここにきて地域・経済・環境福祉の好循環での政策運営が言われています。人を中心に据えた地域の人的資本に注目する総合的視点での政策運営です。


(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
議会費 323,854 306,879 318,539 325,578 308,577 309,752 302,815 297,720 290,240 277,605
総務費 6,759,014 5,665,139 4,950,013 6,434,140 5,344,857 5,695,829 6,005,235 6,342,263 15,671,857 8,204,477
民生費 11,232,706 11,597,612 12,567,432 12,608,314 13,253,871 13,015,837 13,105,815 13,507,006 13,385,303 15,500,712
衛生費 3,246,065 3,537,407 3,614,174 3,002,216 2,929,812 3,287,090 3,195,112 3,501,939 3,411,997 3,999,937
労働費 786,939 711,619 577,756 534,784 467,164 388,181 338,240 316,128 371,936 314,730
農林水産業費 2,432,106 2,381,259 2,151,456 2,311,819 3,084,039 2,529,443 2,477,923 2,563,289 1,765,495 1,739,562
商工費 2,956,867 2,785,307 2,646,498 2,679,210 2,486,240 2,454,904 2,320,548 2,284,325 5,813,851 3,849,706
土木費 5,555,388 6,243,942 6,642,410 6,683,699 8,484,986 7,444,816 5,390,310 5,786,990 5,727,519 6,323,918
消防費 1,591,373 1,562,833 2,124,684 2,202,125 1,667,220 1,791,226 1,885,595 2,072,640 2,086,356 1,737,222
教育費 5,903,874 3,967,195 3,690,499 4,106,008 3,698,946 5,108,539 4,306,080 5,567,608 7,048,569 4,948,523
災害復旧費 358,070 162,233 546,577 1,695,752 250,613 230,372 694,317 1,714,743 1,264,910 3,577,747
公債費 6,106,942 6,020,048 5,851,722 5,660,945 4,818,238 4,591,729 4,391,323 4,126,833 3,864,937 3,638,659
47,253,198 44,941,473 45,681,760 48,244,590 46,794,563 46,847,718 44,413,313 48,081,484 60,702,970 54,112,798
目的別では民生費の増高が目につきます。今後しばらく続くものと考えますが、H31では135億円台です。その要因は臨時福祉給付金が約4億円国から支給されたことによります。R3ではコロナ対策の影響もあり155雄円を超えました。
公債費は36億台まで低下。議会費はH28で歳出総額の0.68%、H31では0.62%と1%を割る状況が続いています。
負債と積立金の推移
(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
臨対債以外 0 0 30,000 380,,400 87,900 669,900 321,400 93,750 1,627,400 953,600
臨時財政対策債 2,300,000 2,100,000 2,000,000 2,000,000 1,400,000 1,400,000 1,300,000 1,100,000 1,200,000 1,586,000
起債額 2,300,000 2,100,000 2,030,000 2,380,400 1,487,900 2,069,900 1,621,400 2,037,500 2,827,400 2,539,600
100% 100% 98.5% 84% 94% 67% 80% 54% 58% 0.38
 合併後起債額は財政の適正規模へと縮減に動きました。臨時財政対策債を活用していますが、H23.24.25では100%臨財債のみです。起債総額ではH29は20..69億円、H30は16億2140万円となっていますがH31では20億3750万円に。しかしR2ではご覧の様に臨時財政対策債12億円の他に16億円余の起債で総額28億円余を調達し、R3年度でも総額25億円余を計上しました。
 大きな流れの中では、財政規模の適正化に向け単年度の起債額を押さえながら繰り上げ償還等で総額を抑えていくことと、必要な政策経費の捻出確保という両面での対応が迫られますが、行財政改革を推進する中で必要財源を捻出する方向しか手だてはなく、一層の努力が求められることとなります。(高利率の起債償還の特例は21年度までで終了しました)
 起債額の推移を見ていただきましたが、合併直後の状況からはかなり圧縮されています。それでは起債額の中における臨時財政対策債の割合を見ていただきます。
 臨時財政対策債は、国の地方交付税制度における不足分をカバーしていた、特別会計制度が限界に達したため(国債を発行してその原資を調達する制度)、別途、特別の地方債(臨時財政対策債)の発行を認めることとし、その臨時財政対策債は、形式的には各自治体の借入となるが、実質的には、償還に要する費用が後年度の地方交付税に算入されるため、地方交付税の代替財源とみなされるものです。このように臨時財政対策債の償還経費は、後年度の地方交付税に理論的に算入され為、旧来財源不足に対して「前払い」で対処してきたものを、「後払い」に変更したものとも捉えることができるものです。
 H13年に導入され13・14年度は一定の制限がありました。その後の動向は、あくまで「発行が可能」なものであって「発行しなければならない」わけではなく、各自治体の責任と判断で発行されるものとして位置づけられてきました。高山市の動向はごらんのとおりです。
 ここで注目すべきは高山市の年度起債額におけるその割合の変化です。合併後の特例期間を活用した財政規模適正化への努力の中で、起債残高の圧縮が至上命題でした。その為にはなんといっても毎年の起債額の圧縮と、出来るだけ優良な借り入れに努力しなければなりません。そうした面においては起債額を圧縮する中での臨時財政対策債の活用は、有効な手段といえます。今しばらくはこうした財政運営で財政規模適正化への努力を続けていくことになります。ただしこれからは仕事の中身と働き手の問題を両立して考えて行く事が重要となります。
 同様の事が議員定数削減要求についても言えます。H31の市議会議員選挙に際して、経済界からは判で押したように削減要求が出ましたが、行革の論理と同じで人員削減がなぜ必要なのか、地方自治との絡みで熟議を重ねたのかの点では不満な内容でした。情報を共有して市民参加で作り上げる地方自治が今ほど必要となる時はありません。日本一の広さを持つ高山市にあっては、合併時の理念とは反し、中心部と支所地域の格差は広がっています。議員定数に対する判断の物差しは単純化するだけではすみません。
 定数問題における面積要件は無視することは出きません。国は地方交付税の算定根拠として、基準財政需要額を算定しています。同程度の人口規模でも面責要件の差で基準財政需要額は異なります。それはそのままその地域での行政需要の差として交付税に反映されます。高山市が同程度の人口規模の都市と比べて予算総額が2割強大きな基はそこにあります。面積要件を加味すれば議員定数に差が出てくることも全国の平均値を採れば浮かび上がってくる事です。
 行革の問題と議会改革の問題点は視点が異なる問題です。何故2元代表制が採用されているのかの点を考えれば、一概に定数減を迫ることには賛同できません。
H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
地方債現在 41,919,247 38,549,134 35,182,953 32,272,433 29,230,169 26,925,060 24,319,624 22,350,803 21,392,643 20,347,704
 上のグラフは一般会計だけの地方債残高ですが、H17年合併後の起債残高は645億円余ありました。一定期間(H21まで)繰り上げ償還等で減額への努力が続きました。H29では269億円まで、H31では223億円代まで、R2では約214億円までR3年度では203億円まで残高を圧縮させることが出来ました。
 特別会計・企業会計を含めた起債残高ではH17で1,152億円あったものがH31では約478億円余まで減額できました。R3年度では427億円までになっています
 R2では一般会計で約213億円余と低下しています。合併前H14年が一般会計で250億円といったところですので、ようやく一応の目標点に達したといえます
 R3年度では特別会計・企業会計との三会計合算で約4278億円世の元利償還を行う中で、交付税算入額を引いた実質償還額は約180億円余を要しています。高山市の税収はR3では約129億円と少し低迷していますが、独自の政策経費に充てられる留保財源は32億円程度というところですので、今後長期にわたる元利償還のなかで、毎年毎年人件費削減やコスト縮減分に頼ることは出来ませんから、それに対応する為には基金積み立てに努力し、繰り上げ償還等に努力するとともに、税収を確保し増加させるための施策の充実が欠かせないということです。
 地方債残高に対する普通交付税算入率は、一般会計では88.45%にまで高まっています。これは起債に際しここ数年、後年度で交付税算入される臨時財政対策債の比率を高めてきた結果ともいえます。コロナ禍で事情は変わりましたが、今後のかじ取りにも注目していきたいところです。
地方債残高に対する普通交付税算入額
R3年度末     地方債残高 交付税参入額 実質地方債残高 算入率
一般会計 20,407,587 18,035,375 2,372,212 88.4%
特別会計 11,401 7,980 3,421 70.0%
企業会計 22,358,946 6,682,659 15,676,287 29.9%
42,777,934 24,726,014 18,051,920 57.8%
R3年度 元利償還金 交付税参入額 実質償還額 算入率
一般会計 3,659,295 3,006,267 653,028 82.2%
特別会計 1,301 846 455 65.0%
企業会計 2519434 700,087 1,819,347 27.8%
6,180,030 3,707,200 2,472,830 60.0%


積立金現在高の推移
(千円) H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
財政調整基金 17,815,135 20,907,289 22,843,898 25,383,597 27,209,130 27,008,928 25,697,092 23,698,956 19,477,801 19,027,285
減債基金 5,553,768 5,576,567 5,599,609 5,623,798 5,641,834 5,726,876 5,746,492 5,770,764 5,791,077 5,806,068
特定目的基金 15,188,789 15,550,637 15,965,454 17,030,599 17,171,333 18,019,849 22,369,308 22,105,063 23,544,566 25,787,704
合 計 38,557,692 42,034,493 44,408,961 48,037,994 50,022,297 50,755,653 53,812,892 51,574,783 48,813,444 50,621,057
 地方交付税の合併算定替えは17年度で約37億円とカウントしていましたが、その後の交付税算定動向もあり22年度では48億円、23年度でも47億円程度に増額されてきています。H24・25年度では約55億円(臨財債除く)まで増加しています。その内約6億円を地域振興特別予算に充てていました。この合併算定替え部分をを有効に積み立てることが、いわゆる合併による財政効果という成果を生むことになります。
財政調整基金・減債基金で200億円位までというのが合併前の財政担当者の夢ということでしたが、H22では約160億、H23年度では約190億円、H24年度では約234億円。H26年度では財政調整基金だけでも228億円、減債基金と合わせて約284億円となっています。さらにH29では財政調整基金270億円、減債基金と合わせれば約327億円となり、H30ではご覧のとおり総額538億円余となりましたが、H31では基金取り崩しもあり515億円となり、R2ではコロナ禍で取り崩しがありましたが、488億円です。R3年度では基金総額は506億円余と増えています。主な要因はコロナ対策などでの基金取り崩しもありましたが、ふるさと基金の約15億円の増額です。ふるさと納税の伸びが寄与しています。
 減債基金はただ積み増しをするばかりでなく、それを効果的に繰り上げ償還に充てていくことが必要となります。なんと言っても三会計あわせた起債残高がまだ約423億円という数字です。同時並行して行革を推進することも忘れてはなりません。
 こうした基金総額の動向が世代間負担比率の向上、財政余力の向上等財政指標の向上に現れてきています。ただしその基盤となるところは自主財源ではなく交付税の算定替えに頼ってきた点に留意する必要があります。H3での基準財政需要額の増による交付税の増額も依存財源に頼る高山市の現状を表していると言えます。
H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30  H31 R2 R3
地方債現在高 41,919,247 38,549,134 35,182,953 32,272,433 29230169 26,925,060 24319624 22,350,803 21,392,643 20,347,299
債務負担行為現在高 14,552,989 18,682,480 17,827,170 17,974,980 17643212 17,595,189 11465252 10202050 10279740 12359044
積立金現在高 38,557,692 42,034,493 44,408,961 48,037,994 50,022,297 50,755,653 51,655,030 51,574,783 48,813,444 50,621,057

H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
標準財政規模A 32,602,153 32,350,239 31,442,096 30,696,681 29,116,389 28,148,502 27,552,986 27,420,588 27,486,187 28,391,014
積立金現在高 38,557,692 42,034,493 44,408,961 48,037,994 50,022,297 50,755,653 51,655,030 51,574,783 48,813,444 50,621,057
B/A 1.2 1.3 1.4 1.6 1.7 1.8 1.9 1.9 1.8 1.8
 合併後の特例加算等を活用して積立金残高を増やしてきた高山市ですが、安定的に財政運営が可能となる経常一般財源としての標準財政規模との比較である積立金残高比率を見てみます。この比率が1.8ということは標準財政規模の1.8倍の積立金残高があるということです。この数値は全国でもトップレベルにある数値といえます。コロナ禍の中にあっても、安定した財政運営ができる基盤があるということです。
財政指標の推移(借金と返済負担)
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
公債費比率 20.5 14.5 14.1 13.9 13.0 11.4 10.5 - -
起債制限比率 12.7 12.7 12.0 9.8 9.7 9.2 8.5 - -
実質公債費比率 14.7 15.0 12.0 12.4 8.4 10.7 9.4 8.4 8.1 8.2 8.7 9.0 9.9 8.8 7.6 5.5 5.0
将来負担比率 25.3 17.8 12.0 - - - - - - - - -
 H16の公債費比率の突出は、減税補填債の一括償還13億円充当の為。それを除けば15.45%。 H18からは起債額も残高も圧縮へ動いています。 
 実質公債費比率は借入金等の返済額の大きさを示す指標ですが、H20年度の12.4から8.1と大幅に低下しましたが、ここのところの地方創成がらみもありH29では9.9という実績でしたがR2では5.5、R3では5.0です。
 過去を振り返れば、H18年は一般会計から特別会計への繰り出し金に、下水道関連の起債償還金部分が新たに加えられたことから、高山市はその影響を受けて指数が上昇しましたが、この指標は過去3年間の平均値ですので、先のH16の要因から解除されたH19では12.0と改善が見られました。その後順調に推移しています。起債制限比率は地方分権改革で許可制から協議制へと変わってきているため、今後は将来負担比率を重視されるところですが、とりあへずはH22まで比較対象としました。 
財政の体力と弾力性



 経常収支比率との関連で財政の弾力性を見ていただきました。2番目のグラフでは合併算定替え交付税の増額部分が合併の財政効果に与えた影響が伺えます。3番目のグラフからは段階的な縮減と扶助費の増高が、(時々の政策運営の影響もありますが)投資的経費の縮減に与える影響など伺えます。
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2
財政力指数 0.56 0.55 0.54 0.53 0.53 0.53 0.53 0.52 0.52 0.52 0.53 0.53 0.53
 地方公共団体の財政力の強弱を示す指数で、1に近い(あるいは1を超える)ほど財政に 余裕があるとされています。 普通交付税の算定に用いる基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値で、通常3年度間の平均値が用いられます。合併後の数値から税源移譲の関係等もあって少し改善していましたが、産業基盤の弱い高山市にあっては、今後とも大幅な改善は見込めないところです。
H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
地方税収 13,783,817 13,637,884 13,468,772 13,387,991 13,573,119 13,614,220 13,517,077 13,612,887 13,188,683 12,980,740
義務的経費 19,720,991 19,734,006 20,370,267 20,127,738 19,350,339 18,550,720 18,931,710 18,871,956 19,397,422 21,038,870
乖離幅 -5,937,174 -6,096,122 -6,901,495 -6,739,747 -5,777,220 -4,936,500 -5,414,633 -5,259,069 -6,208,739 -8,058,130
 義務的経費と自前の財源・市税との関係を見て頂きました。合併前の高山市はほぼ税収の中で義務的経費を賄うことが出来ました。義務的経費の中身は人件費、公債費、扶助費です。定員削減と起債残高の縮減等で義務的経費は低下してきていますが、劇的な税収増はのぞむべくもなく、義務的経費を縮減しなければ税収の範囲で賄うことは出来ません。しかし年々高齢化に伴い増加する扶助費の増加はさけられず、ここにも歳出総額を適正規模にする為の努力が必要となる要因があります。財政構造的に見れば合併算定替え交付税の額がH24・25で約58億円入ってますが、その分をこの乖離幅が食っていると見る事も出来ます。H29では乖離幅は約50億円、H31では52.5億円、R2では62億円、R3では80億円となっています。先に留保財源について述べましたが、その額は約32億円です。この額を投入しても24億円余不足するという事です。
H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
標準財政規模A 32,602,153 32,350,239 31,442,096 30,696,681 29,116,389 28,148,502 27,552,986 27,420,588 27,486,187 28,391,014
起債残高B 41,919,247 38,549,134 35,182,953 32,272,433 29,230,169 26,925,060 24,319,624 22,350,803 21,392,643 20,347,299
B/A 1.29 1.19 1.12 1.05 1.00 0.96 0.88 0.82 0.78 0.72
 これらの指標を見ていただくと、合併後の財政の厳しさがおわかりいただけたと思います。先の積立金残高比率もそうですが何とかここまでたどり着いたというところです。これは合併で背負い込んだ起債残高がやっと標準財政規模を下回って来た姿です。しかしながら税収で義務的経費をまかなえない財政構造は今後も改善できない課題です。。
 脆弱な税収構造を改善するための産業経済政策のありかたが問われています。高山市は他市に先駆けて産業連関表を作成して、市内の経済循環について分析しています。。其れを生かした市内経済の漏出部分を減少Sるための産業政策が求められています。産業連関表を釣っただけで活用するということを忘れているのではないかと指摘されるところです。これまでの八次総の中でできなかったこの点の補強が9次総では最重要課題となってきます。
経常収支比率と実質収支比率の推移
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
経常収支比率 85.7 73.7 79.5 79.8 77.9 76.2 73.4 74.1 73.7 75.0 77.9 77.6 79.8 82.6 84.8 84.6 85.6. 77.8
 平成H17年度、経常収支比率は73.7と合併以前(1市9町村)の85.7から大きく改善されましたが、人件費部分の影響が大きく、勧奨退職を含めた104人の退職が大きく作用しています。但し勧奨退職の退職金は臨時的経費として扱われますので5年間の勧奨退職期間はその分の改善度を差し引いてみる必要もあると言われています。平成18年度は79.5と大きく後退したように見えますが、H21では77.9と改善され、H22で73.4という数値です。H23・24まで安定的に推移しています。こうした財政の弾力性は他自治体では余り見られない状態でした。
 H29では82.6、H30では84.8と悪化しましたが、算定替え増加分の段階的縮減や、歳入不足を補う基金取り崩しなどが影響しているものと思われます。 その姿が次のグラフ実質収支比率との連動で見ていただけます。

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 R2 R3
経常収支比率 73.7 79.5 79.8 77.9 76.2 73.4 74.1 73.7 75.0 77.9 77.6 79.8 82.6 84.8 84.6 85.6 77.8
実質収支費比率 9.1 8.3 9.3 9.4 9.3 10.2 10.7 9.6 8.0 8.3 10 6.7 4.2 2.9 3.9 5.7 9.9
 実質収支比率は財政収支を見るための代表的な指標です。一般的に3〜5%が適正な範囲とされています。3%を下回った場合財政の弾力性は失われ、不測の事態が生じた場合などに影響が出ます。一方5%を超えるような状況は、剰余金が多額に生じたことで収入が当初より相当上回ったか、歳出の不用額が多額に生じた状況を示しているとされています。高山市の場合この数値はH28まではこの5%を超える状態が続きました。これは算定替え増加分を内部留保に努め、基金積み立てを増やしてきたことに起因します。しかし今後人口減少化が進む中では新たな投資により税収を増やす対策も必要であり、議会からはそうした面で基金の運用や、基金を活用した新規投資についても提言しており、高山市が進める観光まちづくりにより一層のブラッシュアップの為の新規投資にも目を向けたいものです。又高山市の進める著大事業、火葬場建設とごみ焼却施設の新設が頓挫しているのもこうした面では早く解決したい課題となっています。合併算定替えの終了と同時に経常収支比率が高くなったことと実質収支比率が低下したことは」表裏一体のこととしてグラフにも表れています。R3年度の数値には、基準財政需要額のかさ上げで地方交付税が増光した影響などから生まれた財政の余裕度です。依存財源に頼る高山市の特徴を良く表していると思います。
 経常収支比率はそうした関連に於いても押さえておきたい連動する指標です。