平成27年度 高山市財務諸表による財務分析 H28.11.13
平成27度高山市バランスシート等財務諸表はこちらからご覧下さい.
財務諸表の関連性
高山市H27年度分財務分析:H20年度よりの改訂方式による財務分析
純資産比率=純資産合計/総資産合計 世代間負担の公平性
純資産比率(%)
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
純資産合計 221,932,280 227,691,716 233,415,660 235,414,039 239,586,393 243,386,637 245,714,002 249,416,181
総資産合計 289,865,766 291,629,451 294,239,273 293,813,362 294,451,833 294,314,798 292,403,378 292,441,536
純資産比率 0.77 0.78 0.79 0.80 0.81 0.83 0.84 0.84
 資産比率は現役世代と将来世代の資産形成についての負担割合を示します。この数値が0.7ということは将来世代が負担すべき割合が30%あるということを示しています。財政構造の適正化へ起債額の抑制を志向する中にあっては、高山市の後世代負担比率は低下しH27では0.84に。
実質純資産比率=(純資産合計ーインフラ資産)/(総資産合計ーインフラ資産) 健 全 性
実質純資産比率(%)
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
純資産合計ーインフラ資産 75,919,481 115,175,967 120,539,571 122,314,927 126,789,762 130,174,517 132,486,219 135,214,776
総資産合計ーインフラ資産 143,852,967 179,113,702 181,363,184 180,714,250 181,655,202 181,102,678 179,175,595 178,240,131
実質純資産比率 0.53 0.64 0.66 0.68 0.70 0.72 0.74 0.76
 経済取引になじまないインフラ資産の価値を0と考えたときの純資産比率を実質純資産比率といいます。こちらは財政力を表すものとされています。地方自治体においてはマイナスとなっているところもあります(債務超過)。 都道府県では実質純資産比率は東京都を除きマイナスが予想されるとのことです。又国においては純資産比率においてマイナス36%とも伝えられており、市町村と国・都道府県の置かれた立場は異なるともいわれています。
流動比率=流動資産/流動負債 短期の資金余裕度
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
流動資産 14,892,740 17,739,798 20,814,000 23,637,189 27,316,944 30,810,873 32,988,749 35,213,069
流動負債 8,364,780 7,352,860 7,236,317 7,125,274 7,072,683 6,840,478 6,579,810 5,777,199
流動比率 178% 241% 288% 332% 386% 450% 501% 610%
流動比率は、換金性の高い流動資産が、一年以内に返済しなければならない流動負債をどれだけ上回っているかを示す数値です。100を切れば当面の支払いの準備が出来ていないことを示します。支払額の大部分は地方債の返済であるから、繰り上げ充用や新たな地方債の借り入れで手当することとなり、財政に影響を与えることとなります。以前の分析では200以上が望ましいとされていました。                     しかしながら、多くの地方自治体の流動比率100%以上への不足額は、数億から多くても数十億の範囲であり、不要資産の売却等で充当できる可能性もあるともいわれています。高山市は610%という内容です。
有形固定資産の行政目的別割合
行政目的 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
総務 23,339,564 23,079,875 23,684,328 23,459,958 22,990,959 22,439,668 21,908,190 21,366,686 9%
福祉 8,739,829 8,404,275 7,952,398 7,547,519 6,955,451 6,631,335 5,669,664 5,090,099 2%
環境衛生 5,930,631 5,678,143 5,446,831 5288995 4,965,924 4,648,474 4,659,258 4,422,088 2%
産業振興 47,159,256 44,880,474 42,404,044 40,076,109 37,699,670 35,457,503 33,200,503 30,918,933 13%
インフラ 111,588,591 112,515,749 112,876,089 113,099,112 112,796,631 113,212,120 113,227,783 114,201,405 479%
消防 6,019,181 5,748,412 5,421,724 5,194,272 4,962,632 4,723,954 5,003,394 5,247,068 2%
教育 53,493,316 54,206,590 56,270,090 56,139,112 56,868,139 55,980,041 54,801,156 54,069,809 23%
有形固定
資産合計
256,270,368 254,513,518 254,055,504 250,805,077 247,239,406 243,093,095 238,469,948 235,316,088 100%
 行政分野ごとの公共資産形成の比重を把握することが出来ます。通常「生活インフラ」、「教育」が大きい割合を占めますが、団体によってかなりバラツキが見られます。特に産業振興の割合については、農村部・漁村部では非常に高くなる場合があるといわれています。経年比較や他団体との比較で自治対毎の特徴が見えてきます。
資産老朽化率=減価償却累計額÷(有形固定資産合計ー土地+減価償却累計額)
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
減価償却累計額 155,696,027 164,594,427 173,434,174 181,577,737 189,379,815 197,144,397 203,618,139 210,143,110
有形固定資産合計ー土地+減価償却累計額 346,401,294 375,699,180 367,028,854 371,607,857 375,307,584 378,431,165 379,644,822 382,669,689
% 44.95% 43.81% 47.25% 48.86% 50.46% 52.10% 53.63% 54.92%
耐用年数に比して償却資産の取得からどの程度経過しているかを全体として把握することが出来る。全体の資産老朽化比率の平均的な値は、35〜50%の間の比率になるといわれています。高山市は年々増加してH27では54.92%に。
減価償却累計 有形固定資産−土地+減価償却累計 資産老朽化率
生活インフラ国土保全 57,488,598 141,809,638 41%
教育 31,982,744 77,202,409 41%
福祉 8,771,557 11,807,198 74%
環境衛生 9,023,796 12,405,304 73%
産業振興 78,976,129 100,081,565 79%
消防 8,017,248 10,955,058 73%
総務 15,883,038 28,358,517 56%
 経年年の変化とH26年度の目的別資産の老朽化比率についてみて頂きました。土地以外の有形固定資産と減価償却累計とを見る訳ですから、生活インフラ部分や教育のように資産額の大きい部門でも常に更新手当がなされている部門は老朽化比率は低くなっています。逆に産業振興分野のように資産累計が多く減価償却累計が大きなものは、過去の補助事業などを活用して形成された資産の更新手当が出来ないものを多く維持している姿が浮かび上がります。産業振興部門の中身を見るとその姿が確認頂けます。農業農村整備部門の資産にその姿が確認できます。
減価償却累計 有形固定資産−土地+減価償却累計 資産老朽化率
労働 207,568 209,791 99%
農・造林 3,995,203 50,829,530 8%
農・林道 8,314,585 17,040,606 49%
農・治山 177,802 303,930 59%
農業農村整備 39,222,551 43,419,581 90%
農その他 2,123,922 5,866,472 36%
商工公園等 110,084 125,879 87%
商工・観光 3,291,811 4,889,036 67%
商工その他 2,416,603 4,027,257 60%
参考:上水道事業の資産老朽化率(減価償却累計÷有形固定資産)

H27 減価償却累計 有形固定資産合計 資産老朽化率
建物 657,846,148 1,381,204,551 48%
構築物 15,266,582,637 32,983,347,436 46%
機械及び装置 4,714,240,842 6,254,840,954 75%
車両運搬具 8,593,794 9,046,099 95%
工具、器具及び部品 47,855,770 51,481,659 93%
20,695,119,191 40,679,920,699 51%
ここでは企業会計で運営している高山市上水道事業の老朽化率を見ていただきます。インフラ資産の中で埋設されている水道管等の更新については、これから策定が義務付けられる公共施設等総合管理計画などでも課題となるところです。一般会計のバランスシートで浮かび上がっている、インフラ部門の老朽化比率と比べてどうなのかなど比較してみることも必要ではないかともいます。水道事業の資産うち構築物はほとんどが埋設管部分ですのでその老朽化率は46%です。インフラ部門全体では39%という事ですので、コンゴ道路、橋梁等、その部門の資産別に比較してみたいと思います。
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
地方債残高 59,482,663 54,963,727 50,955,770 45,097,709 36,449,349 32,152,182 29,892,033 27,742,525
経常収支額 14,199,636 13,901,749 14,685,567 12,579,233 13,039,343 12,836,713 12,115,152 12,060,043
年数 4.19 3.95 3.47 3.59 2.80 2.50 2.47 2.30
 地方債を経常的に確保できる資金で返済した場合に何年で返済できるかを表す指標で、借金の多寡や債務返済能力を測る指標。地方債の償還可能年数の平均的な値は、3年〜9年の間の年数になるといわれます。
高山市はH27では2.3までに。分母となる地方債残高が減少しているので。
社会資本の将来世代負担率=地方債残高÷公共資産合計
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
地方債残高 59,725,865 55,463,153 52,077,101 49,639,405 45,947,399 42,085,770 38,424,778 35,172,481
公共資産合計 192,902,418 255,183,537 254,766,984 251,506,497 248,060,486 243,846,110 239,210,191 235,999,781
31.0% 21.7% 20.4% 19.7% 18.5% 17.3% 16.06% 14.90%
 社会資本の形成の結果を示す公共資産の内、将来返済しなければならない今後の世代によって負担する割合を見ることが出来ます。平均的な値としては15%〜40%の間の比率になるといわれています。過疎化が進んでいる団体や合併特例債を発行している団体では、将来世代負担比率が高くなるといわれています。H27では14.9%と将来世代の負担率は低下しています。
受益者負担比率(%)=経常収益÷経常行政コスト
H20 H21 H22 H23 H24 H25  H26 H27
経常収益 1,158,651 996,571 1,026,152 1,089,799 1,099,096 1,102,316 1,103,129 1,296,489
経常行政コスト 40,016,773 38,781,818 38,743,675 40,015,336 39,631,177 37,986,015 39,852,633 39,525,970
2.9% 2.6% 2.6% 2.7% 2.8% 2.9% 2.8% 3.3%
 行政コスト計算書における経常収益は、いわゆる受益者負担の金額であるため、経常収益の行政コストに対する割合を算定することで、受益者負担割合を算定することが出来ます。受益者負担割合の平均的な値は、2%〜8%の比率になるといわれています。
行政コスト対公共資産比率(%)=行政コスト÷公共資産×100
H20 H21 H22 H23 H24 H25  H26 H27
経常行政コスト 40,016,773 38,781,818 38,743,675 40,015,336 39,631,177 37,986,015 39,852,633 39,525,970
公共資産 192,902,418 255,183,537 254,766,984 251,506,497 248,060,486 243,846,110 239,210,191 235,999,781
20.7% 15.2% 15.2% 15.9% 16.0% 15.6% 167% 16.8%
 資産を活用するためにどれだけのコストがかけられているか、あるいはどれだけの資産でどれだけの行政サービスを提供しているか(資産が効率的に活用されているか)を分析することが出来る。各行政分野におけるハード、ソフト両面にわたるバランスのとれた税源配分を検討する上でも参考となる指標。行政目的毎の比率はかなりばらつきますが、全体では10%〜30%の比率が平均的な値になるといわれています。
行政コスト対税収比率(%)=純経常行政コスト÷(一般財源+補助金等)×100
H20 H21 H22 H23 H24 H25  H26 H27
純経常行政コスト 38,858,122 37,785,247 37,717,523 38,925,537 39,631,177 37,986,015 38,749,504 39,525,970
一般財源+補助金等受け入れ 43,955,135 42,504,865 42,033,437 42,347,287 42,681,765 41,652,572 42,275,426 43,902,723
88.4% 88.9% 89.7% 91.9% 90.3% 91.2% 91.66% 90.03%
 当年度に行われた行政サービスのコストから受益者負担分を除いた純経常行政コストに対して、どれだけ当年度の負担で賄われたかが分かる指数です。比率が100%を下回っているいる場合は、翌年度へ引き継ぐ資産が蓄積されたか、あるいは翌年度以降へ引き継ぐ負担が軽減されたこと(もしくはその両方を表しています。逆に比率が100%を上回っているいる場合は、過去から蓄積した資産が取り崩されたか、或いは翌年度に以降へ引き継ぐ負担が増加したこと(もしくはその両方)を表しています。又比率の数値が100%から乖離しているほど、それらの割合が高いことになります。行政コスト対税収等比率の平均的な値は、90%〜110%の間の比率になるといわれています。高山市は安定Sて90%内外で推移しています。
当期純資産変動額(千円)
純資産変動計算書は、貸借対照表の純資産の部について、会計年度中の動きを表すために作成しま
した。純資産の部は今まで世代が負担してきた部分ですので、1年間でこれまでの世帯が負担してきた
部分が増加したのか、減少したのかがわかります。
(千円) H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
当期純資産変動額 12,737 109,692 144,981 163,967 284,612 231,406 253,067 575,013
 当期純資産変動額としてしめされた額は、純資産変動計算書において詳しく述べられています。貸借対照表上の当期中の資産変動額を抜き出して述べたものですが、これまでの貸借対照表上では、正味資産合計の経年比較でしか確認できないところでした。
 今回の純資産変動額における資産形成部分と、行政コスト計算書における減価償却の関係をあわせてみていくことも大切な視点となります。そうした意味からは、目的別歳出項目に準じた有形固定資産の分類から、公共資産の大項目の下、その分類を1.有形固定資産と2.売却可能資産に分類し、1.の有形固定資産の内訳を@生活インフラ・国土保全、A教育、B福祉、C環境衛生、D産業振興、E消防、F総務と分類したことも、資産形成と更新投資、地方自治体における内部留保に対する考え方に、新たな一ページを加えたものと受け止められます。
 流動比率における短期の資金余裕度については、高山市においても健全な状態といえますが、資産更新時における手当についてはほとんど手当てできていないということがいえるのではないでしょうか。
 多くの自治体においても同様のことがいえると指摘されています。
以前のバランスシートでの財政分析において、「有形固定資産の更新手当率」という表を見て頂いていましたが、改めて今回の新会計基準による財務諸表の発表で、そうした面が浮き彫りにされたといわれています。
 H20の変動額では、12,734千円となっています。H19とH18の比較では2,460,129千円となっていますが、最近の施設整備の状況からいえば新たな巨大投資などは行っておらず、減価償却部分を考えればこうしたレベルに落ち着いているといえるのではないでしょうか。H21では109,692千円と増加していますが、国の景気対策を使ったインフラ整備等の影響が現れているものとみられます。
参考文献:「新地方公会計制度の徹底解説」森田裕司監修
旧バランスシートと併せた分析での経年比較。
上記のように新基準によるものと旧の基準では耐用年数の変更や用語の違いも出てきており、科目においては新たに設けられたものもあります。一概に経年比較することに難しさはありますがが、大所では一つの流れを読み取る事も可能との判断から、継続して分析可能なものは以前のデータを利用して経年比較としてみました。
有形固定資産の更新手当率
形成された有形固定資産の財源の内、後世代が返済しなければならない財源割合はどれくらいあるか。割合が多いほど後世代につけまわしをしています。ここにきて起債の抑制、繰り上げ償還で比率は低下しています。新基準採用のH20以降数値は改善傾向にあります。
H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
手元資金 a 11,336,234 13,157,305 14,574,644 17,441,959.00 20,483,157 23,313,781 27,001,699 30,525,400 32,722,146 35,005,597
減価償却累計額 b 191,470,803 201,786,845 162,199,902 164,594,427 173,434,174 181,577,737 189379815 197,144,397 203,618,139 210,143,110
a/b % 0.06 0.07 0.09 0.11 0.12 0.12 0.14 0.15 0.16 0.17
 減価償却累計額は、その償却対象となった有形固定資産の取得時から現在までの価値の下落相当額を表しています。言い換えれば保有する有形固定資産の買い換え時における、必要な資金額を表す事になります。この減価償却累計額に相当する手元資金を有することは、有形固定資産を更新するための資金手当が十分行われていることとなります。(収入に変動リスクを抱える企業会計では、どれだけの内部留保を確保するかが、安定経営の前提となります)手元資金の考え方は、歳計現金+財政調整基金+減債基金です。
 合併後基金積み立てを図り、H23までに減債基金・財政調整基金を積み増していますので、指数はアップしてきました。H20以降新基準で固定資産の耐用年数の変更等があり数値に変化が出ています。あくまでも傾向としてみていただきました。
新改訂方式での財務分析で見えてくるもの。今後の公共施設等総合管理計画への立ち位置。
 高山市のH20よりの新改訂方式での財務分析、特にバランスシートでの分析からは大まかに世代間負担比率の問題や健全性、短期の資金余裕度ではそれなりに健全性を維持している姿が伺えます。純資産比率
、実質純資産比率、流動比率などでも、ほぼ中位以上の位置にあるといえます。
 しかしながら、形成された資産の更新手当面においては、有形固定資産の更新手当率で見るとおり、脆弱な内容であるといえます。合併後急激な増加を見た減価償却累計額や更新手当率の低さにその姿が見られます。手元資金はこれまでの財務体質の改善により327億円台に増加しています。
 H26年度の減価償却は8,420,617千円となっています(行政コスト計算書)。原価償却額はコスト配分の手法であると同時に、将来の更新投資に必要な資金を留保する方法でもあるといわれています。優良企業ではリスクに応じて内部留保を行い、累計額の相当部分を換金可能な金融資産として留保しているといわれています。
 高山市ではここ数年財政調整基金、減債基金を積み増してきており、手元資金のH27年残高は350億円台までに積み増してきていますが、それでもいまだ17%台という状況です。
 これは地方自治体では収入が減るリスクが低いことから、更新の財源など当初から視野の外におかれているからと説明されています。よく考えてみると、自治体の事業には国の各種補助メニューによる資金調達、起債による資金調達、一部後年度において交付税処置されるものなど、自主財源以外の資金調達の方法があり、余り内部留保による資産の更新手当という考えが定着してこなかったといえます。
 一つには合併による資産の増加、並びに減価償却累計額の増加があり、今後の財政運営においては長期的視野に立った更新計画も必要となってくると考えられます。
 国は昨年「公共施設等総合管理計画の策定を求めてきています。そうした中においては、今ある資産を全て更新することは財政状況が許さない状況も考えられ(人口減少化社会における年齢別人口構成の推移なども考慮すると)、資産のうちのどれとどれを更新し、廃止するものはどれかという選択が迫られる事態も考えられ、「選択と集中の意志決定」に基づく長期の経営計画が必要となってきます。
 会資本更新手当における問題についても同様なことが言え、ファシリティマネジメントによる資産管理の徹底が言われる所以でもあります。高山市公共施設等総合管理計画は今年度その骨子案を策定する予定です。
参考文献:自治体バランスシート・行政コスト計算書の作り方・読み方(朝日監査法人パブリックセンター部)
      複式簿記の財務諸表から見える自治体の健全性と課題(浅田隆二氏著)
これまでの財務諸表作成の経緯
 合併で中断していました財務諸表が発表になりました。これまで高山市はバランスシートついては普通会計及び連結と2つを発表していました。H17年度分からは普通会計・市全体・連結と3つのバランスシートの構成となっています。なおH20年度分より総務省方式改訂モデルでの作成となっています。
H11〜H15 H17〜 H20〜
普通会計 普通会計 一般会計+給食 総務省方式改訂モデル
連 結 市全体 普通会計+(特別会計+企業会計) 未対応
連 結 普通会計+(特別会計+企業会計)+(一部事務組合・広域連合+土地開発公社+第3セクター) 未対応

各会計の中身は次のとおりです。
特別会計 国民健康保険事業・老人保健事業・駐車場事業・下水道事業・地方卸売市場・簡易水道・農業集落排水事業・介護保健事業・観光施設事業・スキー場事業
企業会計 上水道事業

一部事務組合 古川国府給食センター・飛騨農業教唆事務組合
第3セクタ- 高山市施設振興公社・高山市福祉サービス公社・荘川観光振興公社・位山ふれあいの里・高根村観光開発公社・丹生川ダム対策基金(連結対象は出資比率50%を超えるもの)
地方3公社 土地開発公社

高山市がH21年度から切り替えた、総務省方式改訂モデルによる4表による財務諸表の作成

 地方分権の進展に伴い、地方公共団体の自己決定・自己責任が拡大し、行財政の説明責任(アカウンタビリテイ)が求められている中、財務状況を市民にわかりやすく公表する財務分析の一環として、財務諸表を作成し、公表する事になっています。平成20年度以降の決算に基づく財務諸表については、表題にあるように総務省の改訂モデルによる4表を作成することになっています。
 その為これまでとは算出方法が異なっています。
主な変更点は次のとおりです。
 ・減価償却の計算方法(耐用年数の見直し
 ・売却可能資産の算定(未活用公共資産の把握)
 ・投資及び出資金について実質価格での評価
 ・未収金を調停年度により長期延滞債権と未収金に区分
 ・未収金の評価(債権に対する回収不能見込額を算定
 ・長期未払い金に全ての債務負担行為を計上
 ・貸借対照表に示す「純資産」の会計年度中の動きを示す「純資産変動計算書の新設 
バランスシート新旧対照表
旧総務省モデル 総務省改訂モデル
資産の部 公共資産 固定資産 有形固定資産 有形固定資産                      耐用年数の変更あり
売却可能資産                  行政サービスの提供には活用されていないが、将来現金獲得能力があるものを計上
投資等 投資及び出資金 帳簿価格 時価のあるものは時価            時価のないものは出資割合に算定
連結対象団体で実質価格が30%以上下落したものを計上
基金 特定目的基金               土地開発基金               定額運用基金 退職目的基金                  特定目的基金                  土地開発基金                  定額運用基金
長期延滞債権 収入未済額のうち前年度以前の調停ものを計上
回収不能見込額 長期延滞債権×不能欠損実績率(過去5年間の累計から)
流動資産 未収金 収入未済額のうち前年度以前の調停ものを計上今年度の調停のものを計上
回収不能見込額 未収金×不能欠損実績率(過去5年間の累計から)
負債の部 固定負債 長期未払い金 債務負担行為 債務負担行為(翌々年度以降)
その他                         利子補給(翌々年度以降)
損失補償等引当金 健全化法上、将来負担比率に含めた額を計上
流動負債 未払い金 債務負担等の翌年度支払額
翌年度支払予定退職手当 翌年度の支払予定額(当初予算額)
賞与引当金 翌年度に支払うことが予定されている手当のうち当年度負担分
純資産の部 国庫補助金 公共資産整備国件補助金等
都道府県支出金 公共資産等整備一般財源等
一般財源等 その他一般財源
資産評価差額               「投資及び出資金」、「基金等」の資産評価額