平成30年度決算に見る市税の収納状況
高山市合併以降の年度別市税収入の推移
今回は自主財源としての高山市税収の分析を、年度別に収入額、収入率、課税義務者数をグラフ化してみて頂きます。副次的には平成17年度を基準とした指数についても見て頂こうと思います。観光という面の華やかさが喧伝されますが、社会・経済状況の変化に高山市が抱える問題も見て頂けると思います。
市税全体


市税全体 H17
H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額
(千円)
14,336,379 データ表示を省略 14,026,441 14,017,390 13,783,817 13,637,884 13,468,772 13,387,991 13,573,119 13,614,220 13,517,077
対17年
度比
1.00 0.97 1.04 1.03 0.99 0.98 0.98 0.96 0.95 0.94 0.93 0.95 0.95 0.905
収入率
(%)
95.5 95.4 95.7 94.7 93.6 92.8 92.2 91.8 91.8 91.8 92.0 92.6 92.8 93.6
 自主財源としての市税の動向は以上のようなものです。合併時に143億円余の税収があったのですが、H30年度の税収は約135億円余と約8.2億円余の減少となっています。H17年度対比では90.5%にしか達していません。又その収納率を見れば93.6と低い状況です。収納率の低さはそのまま地域の活力のなさに繋がっており、よく言われるように観光が高山市を引っ張っており、その入込数はH30で444万人。観光消費額とその波及効果はそれぞれ933.7億円、1979.4億円と発表される割には、税収といった面には反映できていないと言えます。
 今後目標としなければならない観点は、人口減少化社会にあっても持続可能な地域づくりです。合併後の推移をみる中では現状を改善していかない限りその目標には近づけないと感じます。各税収科目ごとの問題についてもそれぞれに見ていきたいと思います。
個人市民税


個人市民税 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額(千円) 3,412,797 データ表示を省略 3,787,399 3,751,796 4,131,347 3,891,222 3,968,279 3,976,187 4,106,643 4,216,423 4,263,505
収入率(%) 94.7 95.1 95.3 94.6 93.7 93.2 93.0 93.9 93.6 94.1 94.5 95.2 95.7 96.4
対17年度比 1.00 1.03 1.26 1.25 1.18 1.11 1.10 1.21 1.14 1.16 1.17 1.20 1.20 125
納税義務者 46,105 49,768 49,725 49,411 48,744 47,941 47,716 47,711 47,674 47,933 47,572 48,127 48,127 48,957
 個人市民税の動向です。H19年には地方税の増、地方譲与税の減という税源移譲の影響が税収に現われています。H18年からの納税義務者数の増は合併に伴う固定資産税の評価替えなどの影響があると考えられますが、こところの減少は団塊世代のリタイア等の影響が表れているものと解します。尚H24年の税額UPは株式譲渡などでの単年度の特殊要因が作用しているものといえます。収入率は96.4%と比較的安定しています。
法人市民税


法人市民税 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額(千円) 1,218,838 データ表示を省略 817,582 870,041 787,820 768,900 804,758 813,451 838,281 826,015 864,896
収入率(%) 98.5 98.7 98.7 98.0 97.3 97.6 98.2 95.7 95.4 95.6 95.7 95.7 96.0 98.3
対17年度比 1.00 0.99 1.06 0.83 0.62 0.67 0.71 0.65 0.63 0.66 0.67 0.69 0.69 0.71
納税義務者 3,569 3,498 3,513 3,484 3,467 3,415 3,426 3,403 3,399 3,412 3,382 3,402 3,431 3,435
 法人市民税の動向です。収入率は98.3とまずまずですが、収入額は86.4億円余平成17年比で71%で停滞といえます。実に35億円余減しているのが現状です。路線価の低迷が影響しています。納税義務者数はほぼ同数ですが、H17年度比で134件の減少です。またその収入率は久しぶりの98%台を回復。
 はっきり言ってこちらはリーマンショック後の停滞から少し持ち直したのかなと言えますが、高山市の稼ぐ力の停滞がこちらからもうかがえるという事です。
固定資産税


固定資産税収 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額
(千円)
7,546,061 データ表示
を省略
72
7,312,681 7,303,830 6,854,424 6,899,524 6,681,332 6,577,378 6,566,127 6,552,215 6,390,732
収入率
(%)
95.3 94.9 95.2 94.2 93.0 91.8 90.9 90.0 90.0 89.8 89.9 90.4 90.7 91.3
H17年度比(%) 1.00 0.93 0.96 0.98 0.97 0.97 0.97 0.91 0.91 0.89 0.87 0.87 0.87 0.85
納税義務者:土地 36,486 データ表示
を省略
33,778 33,894 33,976 33,967 33,747 33,603 33,238 33,051 32,974
32,701
納税義務者:家屋 30,696 データ表示
を省略
31,133 31,282 31,409 31,497 31,576 31,706 31,739 31,704 31,733 31,747
納税義務者:償却資産 2,062 データ表示
を省略
1,665 1,611 1,540 1,494 1,463 1,507 1,558 1,612 1,700 1,724
 固定資産税収のこれまでの推移です。固定資産税は合併後H18年から3年ごとの評価額の見直しや負担調整率の改定が行われてきました。H18の税率の統一で-約5億円の影響が出ました。しかし当初の予想では合併後3回の見直しで、だいたい元に戻ると言われたものでした。比較してみると平成24年からはその減少が顕著になっており、ここH26年以降ではH17年度比で90%を割り収入額では65億円台に、H30では63億円台迄に低下しています。H17年比では約11億円余減少した事にもなり、市町村の基幹税科目としては放置しておけない数字です。
 こうした姿を見据えて産業経済政策はどうかと言えば、いまだに観光客入込数だけを頼りとした観光政策に依存する姿が続き、本当の意味での経済のかじ取りを任せられる、ヘッドクオーター部門が不在の姿を露呈しています。こうした中で、地域経済循環を重視した産業連関表の導入や、総合計画に即した各種計画の見直しを通じて立て直しを図る機運は出てきました。こうした政策的見地は議会の政策提言で繰り返し指摘してきたところです。
 こうした数値の停滞は、大所高所に立ち自らの足元を見据えて政策を吟味し、役所内部から産業経済環境を立て直す気概が見えてこなかったところに起因するとも取れます。こんなところにも市長の海外出張の多さを批判する土壌があるというものです。
都市計画税


都市計画税収 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額(千円) 1,062,781 データ表示を省略 1,037,118 1,024,283 953,424 934,975 916,455 891,592 894,461 894,787 876,710
収入率(%) 93.6 93.8 94.5 93.7 92.5 91.4 90.3 89.3 89.3 89.2 89.1 89.5 89.9 90.6
H17年度比(%) 1.00 0.98 1.00 1.01 0.98 0.98 0.96 0.90 0.88 0.86 0.84 0.84 0.84 0.82
納税義務者土地 19778 20,057 20,260 20,459 20,565 20,641 20,697 20,767 20,736 20,712 20,507 20,492 20,550 20,528
納税義務者家屋 20,923 18,942 19,138 19,277 19,356 19,452 19,561 19,650 19,732 19,845 19,910 19,947 19,999 20,052
 都市計画税についても、基本的には固定資産税収で述べたことに準ずるものと考えています。こちらもH17年度比で82%まで減少しており、H30税収では8億7千万円余まで約1億7000万円減少しています。現状都市計画区域を国府、丹生川、清見で拡大していますが、調整処置として課税は延期しているところです。
軽自動車税


軽自動車税 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額(千円) 202,279 データ表示を省略 220542 222485 224,160 227,759 231,194 235,365 283,016 291,121 301,262
収入率(%) 96.5 96.6 96.5 96.3 95.8 95.4 95.3 95.0 94.9 94.8 94.8 95.4 95.7 96.7
H17年度比(%) 1.00 1.02 1.04 1.06 1.08 1.09 1.10 1.11 1.13 1.14 1.16 1.40 1.44 1.49
総台数(課税台数) 43,692 44,139 44,573 45077 45,511 45,718 45,722 45,967 46,267 46,674 47,098 47,287 46,903 46,957
 軽自動車税は世の中の趨勢として、右肩上がりで伸びていると言えます。H17年度比で課税台数は10.7%の増加、収入額では約5割増しというところです。
市たばこ税


市たばこ税 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額
(千円)
632,874 データ表示を省略 543,790 549,585 624,537 607,344 683,846 642,515 648,740 629,699 589,677 573,650
収入率
(%)
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100
課税本数 213,840 データ表示を省略 166,025 164,430 137,296 133,862 133,844 124,616 125,861 121,863 113,384 105,984
 たばこ税はこのところの健康志向で、消費課税本数は減っていますが、値上げにより収納額の減少に歯止めをかけているのが現状です。観光地という事もあり他都市よりは消化本数も税額も多いと言われています。
入湯税


入湯税 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
収入額
(千円)
260,749 データ表示を省略 220,442 301,534 220,418 225,298 231,658 223,874 245,278 253,562 238,451 245,935
収入率
(%)
92.9 95.9 93.2 92.2 89.6 89.8 87.1 86.2 87.6 84.2 85.8 92.5 89.9 85.0
H17度比
(%)
1.00 0.93 0.86 0.85 0.85 1.16 0.85 0.86 0.89 0.86 0.94 0.97 0.90 0.94
入湯客数 1,625,258 データ表示を省略 1,516,164 2,067,727 1,458,542 1,525,368 1,522,802 1,555,330 1,625,089 1,582,659 1,748,000
1,639,000
 入湯税の推移を見て頂きました。H22年度の増加は滞納分の一括納付で、単年度での特殊要因です。ここでの問題は収入率の低さです。リーマンショック後90%を割る収入率が続きましたが、H28で92.5%までに回復しました。しかしH29で再び90%を割り、H30では85%まで減少。収入額も2億4千600万円台と停滞気味です。H17年度比では94%まで回復しています。これについては目的税との観点から、約半分の1億円は観光協会等へ直接交付しています。しかし基幹部分で泉源の維持対策への要望なども出ており、全体として目的税の使途と業界の経営面での問題も浮かび上がってきているところです。
税収構造の見える化から見えてくるもの。
 平成30年度歳入歳出決算が発表され、9月3日開会の9月議会での認定に向け細かな分析に入ります。決算審査と言えばいわば一年間の市政運営の通信簿の様なものと言えます。
 行政の公会計では予算が重視され、どのように予算を配分するのかが重視されます。
 民間会計においては、結果重視で決算重視の姿勢です。結果どれだけ利潤があげられたのか、どれだけ内部留保が確保できたのかの会計であり、その結果を次年度の予算に反映することが出来るのかを重視します。
 そうした中にあって国の補助金や交付税といった依存財源に頼らず、市税といった自主財源の確保は自治体にとって大きな意味を持ちます。合併前の高山市は自主財源で義務的経費(人件費、扶助費、公債費)がまかなえる構造でした。
 今後も望まれることは、高山市をどういった産業構造で組み立て、その持続可能性を確保していくのかといった観点です。過度に観光に頼るばかりでなく地場産業を複数育て、足腰の強い経済体質にしてい課なければなりません。

 今回は税収構造の現状分析といった観点で見て頂きました。今後を見据えた中での大切な観点は、縮小社会が到来する中で、経済のパイの拡大は見込めません。今後を見越したバックキャスチングの手法でその持続可能性を求めていかねばならないものと考えます。